急騰する銘柄があれば沈むものも出てくる。ミツミが浮上する以前には、「委託先はホシデン」という情報が株式市場を駆け巡り、一時、ホシデンの株価が上伸。7月22日の年初来高値の898円をつけた。しかし、ホシデンではないとわかると、急落して7月29日には635円に逆戻りしてしまった。
ポケモンGOの人気が業績を押し上げるかどうか、実績を見極める段階に入ったということだろう。ポケモンGOプラスの発売時期を任天堂が7月末から9月に延期したことで、“プラス人気”も剥がれ落ちてしまった。
4万3000円vs.1万5000円
欧州系の証券会社は7月19日付のリポートで「1万5000円目標。セル(売り)推奨」とした。任天堂の株価が20日に急反落(18%安、一時5000円安)したのは、この証券会社のリポートがきっかけだったといわれている。
これに対し、別の証券会社は7月20日付のリポートで「目標株価を2万7800円から4万3000円に引き上げ」た。1万5000円と 4万3000円という両極端のシナリオ。どちらが的を射ているのか、話題になっている。
株価の先々の落ち着きどころは神のみぞ知るだが、客観的なデータを吟味する冷静さは必要だろう。「ポケモンGO自体からの任天堂への収益寄与は、2017年3月期で80億円、18年3月期で120億円」と試算している大手証券会社もある。世界的なポケモンGOフィーバーからみると、意外に少ない感じだ。
なぜなら、ポケモンGOは任天堂と、任天堂が議決権の32%を保有するポケモン、およびグーグルから独立した米ベンチャーのナイアンティックの共同開発だからである。
任天堂は9月に発売するポケモンGO プラスが売れたほうが儲かる。腕時計のように巻いて使うが、ポケモンの出現を振動や光で知らせてくれる機能がある。
「任天堂がビジネスモデルの根幹をハードからソフトに移す」との期待がマーケットでは高まっているが、目標株価を1万5000円とした証券会社は、「ハードへの投資を続けることが任天堂としての必然」と分析、「市場の期待は裏切られる」とバッサリ切り捨てた。「業績を超越した株価の推移はしばらく続くと考えられるが、12カ月後の目標株価(1万5000円)は不変」というわけだ。