年収5千万の国会議員、大臣や大臣政務官等は追加で2千万…役職分のみで年17億円税金投入
こうした「担当」の名称をわざわざ明記することでメリハリをつけ、責任の所在を明確にしたつもりなのでしょうが、しょせん長くても1年前後、わずか数カ月で入れ替わるお飾りの大臣職に対し、ろくに成果も上がらないのがわかりきっているのですから、コケオドシもよいところでしょう。これこそ国民を舐めきっているとしか思えないわけで、いったい何を考えているのか――と首を傾げたくなるのも当然なのです。
どのみち順送りで、下着泥棒の疑惑が報道された人物が復興大臣になったり、北方領土担当なのに「歯舞」の漢字が読めない人が大臣になったりするのです。
世襲議員は若くして初当選が叶いますし、どんなに資質に問題があろうと、その後当選回数を着実に重ね次々と順送りで大臣ポストにありつけますから、いつのまにか大物政治家になってしまうのです。世襲同士の身びいきもさかんで、安倍内閣の有力閣僚と称される人たちは、いずれも世襲で「お友達」です。まぎれもなく政界においても「パーキンソンの法則」のロジックが支配する世界になっているわけです。
安倍首相は第1次政権時(06年9月発足)の頃から、「美しい国づくり」「教育再生」「再チャレンジ」「戦後レジームからの脱却」などといった具体的手法すら伝わらない意味不明のスローガンを掲げるのが大好きであり、声高に叫ぶほどに内容の空虚さが目立ったものですが、今もますますそれが高じているかのようなのです。
そんなにスローガンを並べるのが好きなら、いっそ「憲法改正担当」「戦後レジームからの脱却担当」「美しい国づくり担当」といった「担当」も入れればよかったのにと惜しまれます。また、「靖国参拝閣僚に対する近隣国の不当な内政干渉を排除する担当」や「従軍慰安婦の強制性の嘘を正し、公募での高額報酬職だったことをアピールする担当」というのも入れてくれると、勇ましく国民を鼓舞してくれるので、「さすが!」と称賛されたのかもしれません。「憲法の緊急事態条項担当」「憲法の9条改正担当」「公正公平な報道担当」というのもどうでしょうか。このほうが、よほどわかりやすいでしょう。
盲腸ポスト「政務次官」の復活
ところで、日本にはかつて所管大臣の下に政治任用の「政務次官」というポストがありました。
98年当時の俸給月額137万5000円、期末手当などを含めて年収2200万円。与党の国会議員が当選2~3回目ほどであてがわれるポストで、大臣の直下に位置づけられる政府省庁における特別職でした。国会答弁もなく肩書だけのポストとあしらわれ、あってもなくてもよい役職だったために「盲腸ポスト」ともいわれたものです。