ハイスタ、事前告知一切なしで店頭にCD発売…歓喜を呼んだ鮮やか&驚愕のPR戦略
そして、今回のハイスタの事例は、熱烈なファン(愛用/愛好者)に、一番初めに届けるべきだという試みだ。ネットファースト、かつカスタマーファーストの考え方だ。
「情報伝播」の起点
冷静に考えてみると、上記で述べた3つの情報発信先(マスコミ、インフルエンサー、ファン)は、どれも間違ってはいない。例えば、これからデビューする無名のバンドなら、いきなりファンへ伝えるという方法は取れない。とっかかりとして、影響力のある先輩ミュージシャンの推奨コメントを伝えるところから始めるかもしれない。その周辺から評判を徐々に広げ、やがてマスコミが取り上げてくれるタイミングがきたらテレビ出演、となるだろうか。
実際、ハイスタの例でもわかるように、ターゲットはネットで情報をキャッチしており、非ターゲットの親父はテレビでハイスタを知ったのである。日本中のおじさん、おばさんにまで知らせるためには、やっぱりテレビに露出させることが欠かせないのである。
ただし、私がこの事例で大事にしたいのは、あれやこれやと「情報」を伝えて、徐々に期待を高めて、最後に商品を手にとってもらう戦術論ではない。大事なことは、その商品やサービスを求めている人に、確実に商品を届けることが「情報伝播(でんぱ)」の起点になるということだ。
そして、その期待や渇望感が大きければ大きいほど、波及力も高まる。ハイスタは、そのことを理解していたし、自分たちの新作を心待ちにしてくれているファンの存在に確信をもっていたのだ。だから、中途半端な発売前のPRを一切排した。そこがカッコイイのである。
消費者へダイレクトに商品を届ける
翻って、一般的な商品やサービスではどうだろうか。12月某日、私はとある健康機能食品の記者発表会の現場にいた。
会場に集まったのは、テレビや新聞を中心に約100名の報道陣である。いわゆるマスコミが中心だ。二昔前のスタイルを踏襲しているかのようだ。一方で、私は同じ日に、大手量販店の協力を得て、その食品の巨大な売り場もつくった。マスコミを介さずに、待ってくれている消費者へダイレクトに情報を、いや商品そのものを届けようと考えたからだ。まさに「ハイスタ方式」である。