オーナー取り分とスタッフとしての給料を合わせると、上記償却部分を利益から外した場合、月45万円(年収540万円)がそこそこ繁盛しているお店のオーナーの給与となります(初期投資の償却が終わって一部を積み立て、一部を利益とみるなら、年収600~700万円台も可能です)。
お店の売上の限界を意識する
店舗オーナーは、1店舗だけの経営ですと、売上をさらに伸ばそうと思っても、お店に入れるお客の数に限界があり、かつ客単価にもそれなりに限界があるので、多店舗展開して取り分を増やそうとします。
逆に費用配分が上記のような配分にならずに、少しずつでも「足が出ている」場合、オーナー利益のはずの売上の10%が削られてゆき、利益がなくなってしまい、自身が現場に入っていて1日中あくせく働いて休みも週1日しかないのに、月収22万5000円(年収270万円)といった状況に陥ってしまいます。
これは、レアケースというより、結構みられるケースです。特に人件費を総費用の30%以内に収めることができなかったり、費用をなんとなくいろいろ使ってしまってしまったりするオーナーは、経費を一定枠内に収めることに苦労しています。
また、売上自体を増やそうとしても、そこそこ繁盛しているお店であれば、客数を増やすために回転率を上げるか、客単価を上げるしかありません。
たとえば、月商225万円で25営業日想定だと、昼2.5万円+夜6.5万円で1日平均9万円の売上となります。15坪のお店の平均客席数は、坪数×1.5で22.5席、満席率80%としたら1回転18席、昼に2.5万円を売り上げるためには客単価1000円で約1.5回転、夜に6.5万円を売り上げるためには客単価3800円で約1回転必要になります。これを毎日続けているお店は、対外的には繁盛店に見えるはずです。
こうした店舗で、急激な回転率や客単価の変更はかなり困難です。お店の雰囲気やコンセプトが変わってしまい、お客が離れてしまいます。ただし、最初から回転率を意識したお店のなかには、坪50万円/月以上の売上を上げているお店も存在しています。そんなお店のオーナーは、かなり儲かっています。
坪売上50万円/月×15坪=750万円の月商だと、10%=75万円/月がオーナーの利益になります。各種固定費比率を中心に経費も抑えられるので、1カ月100万円以上の利益が出ることでしょう。
お店を出すには車1台分くらいの開業資金で出店することも可能ですが、出すことよりも続けることのほうが大変です。もし「やってみようかな」と思ったら、儲かりにくいお店にならないよう、最初からお店の売上の限界を意識し、費用の掛け方もスリム化した店舗づくりが大切です。始めてみて「こんなはずじゃあなかった」ということにならないよう、お店の利益や自分の取り分になる給料について、予測はシビアにしっかりしておきましょう。
(文=江間正和/飲食プロデューサー、東京未来倶楽部代表)