神保町の「変な食堂」が話題…従業員は1人、指導厳しいのにボランティア殺到の謎
神保町に「未来食堂」という一風変わった名前の食堂がある。変わっているのは名前だけではない。行ってみるとわかるが、いや、行ってみなくてもホームページを見るだけでも、わかる。でも、行ってみてほしい(ただし、5月29日まで産休でお休み中)。2015年秋に開業した、この未来食堂の店主が「小林せかい」さんだ。
もう1人、軽井沢にこれまた一風変わった全寮制高校がある。2014年8月に開校したインターナショナルスクール・オブ・アジア軽井沢(ISAK)だ。現在、世界39カ国から約150名の高校生が集い勉強に励んでいる。「多様性を活かす力」「自ら問いを立てる力」「困難に挑戦していく力」を養い、世界中で変革を起こせるリーダーを育成することを目的に設立された。この代表理事が「小林りん」さんだ。
2人の小林さんは相当パワフルだ。今回は小林せかいさんの未来食堂を紹介したい。
エンジニアが始めた、たった1人の食堂
小林さんは、東京工業大学を卒業したリケジョだ。日本IBMやクックパッドでエンジニアとして働いていたが、もともとの夢を実現したいと職を辞し開店したのが未来食堂である。エンジニアらしく徹底した効率化を図っている。ランチタイム、席に座るとお膳が出てくる。以前は日替わりですべて決まっていたが、今は複数の小鉢から選ぶことができる。それでも十分過ぎるくらい、早い。
それから、従業員は小林さん1人だ。店に行くとわかるのだが、実はもう1人働いている。1人ではないじゃないかと反論されそうだが、実はボランティアなのである。つまり無給で働いている人だ。ホームページに、誰が、いつ、どのような仕事をするかというボランティアのスケジュールが示されている。細切れなのだ。従業員のシフトや人手不足に悩む店長も多いだろうが、ここはボランティアが自ら予定を入れる。
ボランティアをすると、どんないいことがあるのか。わかりやすいメリットは「ただ飯」が食べられることだ。そう、ボランティアをすると、店の料理が1食ただで食べられる。いわば「まかない」なのだ。だから、お金のない苦学生にはありがたいだろう。
ボランティアへも指導が入る
「ただ飯」がついているのだから、完全にボランティアというわけではない。まあ、それでも「ただ働き」をしているのには違いがない。普通、ボランティアをするような奇特な人には丁寧に対応する。わざわざ来てくれただけでもありがたく、再び来てもらうためには丁寧に対応しなければならない、と考えるのが普通だろう。