巻き返しを図る北陸4県、新ブランドを続々投入
新潟県、富山県、石川県、福井県の北陸4県は、これまで「コシヒカリ」を主力品種としてつくってきた。しかし、既存銘柄の地位や価格の低下を受けて、近年は“ポストコシヒカリ”を模索している。その結果、17~18年には各県で新品種のブランド米が誕生する。
新潟は17年に「新之助」、富山は18年に「富富富(ふふふ)」、石川は17年に「ひゃくまん穀」、福井は17年に「いちほまれ」を、それぞれ販売するのだ。
「『新之助』は『コシヒカリ』と収穫時期がずれるため、どうしても『コシヒカリ』の収穫時期に集中する作業量を軽減できるという点がメリットです。粒が大きく、ソフトな感触でもっちりしつつ甘みがあります。実は、私も予約しています。『富富富』『ひゃくまん穀』『いちほまれ』は、まだ食べたことがないのですが、新ブランドということで、おおいに期待しています」(同)
「富富富」という一風変わった名称を発表した石井隆一・富山県知事は、「コシヒカリを超えるおいしさです。おいしいコメを食べて、子どもが『ふふふ』と笑うという意味で『富富富』と名付けました」と発表している。
「ひゃくまん穀」について、JA全農いしかわは「しっかりとした粒感で食べごたえがある」と自信を持つ。「いちほまれ」の福井は、「そもそも『コシヒカリ』は、本県が60年前に誕生させたブランド米が発祥です。『魚沼産コシヒカリ』を超えた食感を『いちほまれ』でご堪能いただければ」とコメントしている。
山形の「つや姫」と北海道の「ゆめぴりか」が一歩リードするなか、北陸勢が攻勢をかけるという構図だ。「“ポストコシヒカリ”の地位は本県が担う」と自負する福井だが、それぞれの地域性や思惑もあり、どのコメが“ポストコシヒカリ”となるのかは、まだ見えてこない。
しかしながら、北陸4県の攻勢いかんでは、ブランド米戦国時代の勢力図は大きく変わる可能性があるだろう。
青森、岩手、宮城もブランド米に注力
「実は、『お米マイスター』の人たちで、ごはんの新しい楽しみ方を提案すべく『東京都ごはん区』というグループを設立し、全国の産地からおいしいコメを探して、コメの品質を見極めて販売しています。実績として、すでに岩手県の『銀河のしずく』の販売がありますし、青森県の『青天の霹靂(へきれき)』などのPRをしてほしいとの依頼を受けています」(同)
15年にデビューした「青天の霹靂」は、誰もが驚くようなうまさを目指して青森が満を持して誕生させたコメだ。16年デビューの「銀河のしずく」は、岩手独特のしっかりもっちり系の極みとされる。「銀河のしずく」は並みいるブランド米を押しのけ、「日経トレンディ」主催の「米のヒット甲子園2016」では「大賞米」に選ばれた。