日本電産は4月23日、2014年3月期の連結決算(米国会計基準)の業績予想で営業利益は前期(13年同期)比4倍の700億円、最終利益は6.3倍の500億円になると発表した。
主力のパソコン向けハードディスク駆動装置(HDD)用モーターは伸び悩むが、生産拠点の再編を柱とする構造改革が奏功。M&A(合併・買収)や円高修正も加わり、V字回復するとぶち打ち上げた。
日本電産がV字回復を前面に押し出したのには事情がある。電子部品大手6社の業績は、スマートフォン(スマホ)やタブレット端末の需要の波にうまく乗れた企業と、そうでない企業とで、収益力の回復のスピードに大きな差が出た。13年3月期決算で村田製作所や日東電工が4割の最終増益になった一方、アルプス電気は構造改革費用の計上もあって最終赤字に転落した。電子部品大手の決算、スマホ向けの比率の高低で明暗を分けた。
HDD用モーターが主力の日本電産は、スマホ景気にまったく乗れず、大苦戦に陥った。13年3月期連結決算の売上高は前期比3.9%増の7092億円、営業利益は同75.9%減の176億円、最終利益は同80.4%減の79億円と大幅な減益となった。HDD用モーターなどパソコン関連部品の需要減に加え、生産拠点の見直しの構造改革費用として370億円を計上したことが響き、最終利益は2年連続の減益となり、株主配当は1株90円から85円に5円減らした。
14年3月期は、HDD用以外の精密小型モーターが風力発電など新分野向けに伸びると予想。前期に買収した海外6社の利益も通期で貢献するとみて、増収増益を見込む。これに円安が加わる。想定為替レートは1ドル95円に設定。前期は1ドル83円。ユーロの想定レートの見直しと合わせ、単純計算で、営業利益を100~130億円押し上げる効果を見込む。
何でも1番でないと気が済まない永守社長は、大阪市内で開いた決算発表会見の席で声を荒らげる一幕があった。「こんな業績で我慢している人間じゃない。永守をなめてくれるなよ」と吠えた。
アベノミクスで株高が進むなか、日本電産株の上昇は自動車や不動産に比べて、大きく劣っているのが我慢ならなかったのだ。だからというわけではないが、今期の業績のV字回復宣言を、市場関係者は株価対策と受け止めた。
V字回復宣言の効果はすぐに出た。ゴールデン・ウイーク明けの5月8日の東京市場で日本電産株は7100円の年初来の高値をつけた。年初来安値4975円(1月29日)の1.4倍にようやく持ち直した。しかし、1万円クラブ(株価1万円)の常連だった日本電産の株価の上昇はまだまだだ。