総合スーパーにドンキの手法を取り入れたメガドンキ
先述したとおり、同店は通常のファミマの約1.5倍となる商品数を展開しているため、天井近くまで積み上げないと陳列しきれない。この陳列方法だと圧迫感が出てしまうが、一方で豊富な品ぞろえを実現することができる。また、通常のファミマにはないドンキの商品も展開しているので、商品を選ぶ楽しみが増えた売り場となっている。そのため、筆者は面白い売り場だと感じた。おそらく同店は成功を収めるだろう。そして今後、同様のファミマを増やしていくことになるのではないか。
この見通しを裏づける根拠が、実際の売り場とは別にある。総合スーパー「アピタ」と「ピアゴ」にドンキの手法を取り入れて成功したことがそうだ。
ファミマを運営するユニー・ファミリーマートホールディングスは2017年、ドンキを展開するドン・キホーテホールディングスと資本業務提携を結び、その一環としてユニー・ファミマは、傘下のユニーが展開するアピタとピアゴの6店を2月から3月にかけてドンキの手法を取り入れた新業態店「MEGAドン・キホーテUNY」に転換した。アピタとピアゴは不振に陥っていたため、ドンキの手法を取り入れることで業績回復を狙ったのだ。
筆者は実際に新業態の1号店である大口店をオープン初日に訪れた。生鮮食品の品ぞろえこそユニーがベースとなっていたが、それ以外ではドンキの手法が取り入れられていた。店頭にはドンキで採用している「驚安コーナー」があり、特売品が山積みされていた。ほかにも、バナナ、ニンジンといった青果や、おにぎり、菓子などあらゆる商品が至るところでドンキ流の山積み陳列がなされていた。オープン初日ということもあり、店内は多くの人で賑わっていた。そして、多くの人が山積みされた商品を手に取って買い物カゴに入れ、そしてレジを通っていった。集客しやすいオープン初日という要素を差し引いても、同店は集客に成功したと断言できるほどだった。
そういった状況を反映したかのように、6店の3月における業績(速報ベース、概算)は好調だった。6店合計の売上高は転換前と比べて2.5倍の18億円、1日当たりの客数は2.2倍の4万4000人、売上高から売上原価を除いた粗利益は2倍の3.6億円になったという。こうした状況を受けて、ファミマでもドンキの手法を取り入れることにしたのだろう。