売り上げはセブン、ローソンを下回るファミマ
ファミマの業績は冴えない状況にある。既存店客数は4月まで13カ月連続で前年同月を下回っている。既存店売上高も前年同月を下回る月が目立つ。一方で、店舗数はサークルK・サンクスの店舗をファミマに転換しているため大幅に増えてはいる。4月末時点で1万5047店(転換店を含む、サークルK・サンクスの店舗は除く)を展開し、セブン-イレブン(2万337店)を間近まで追い上げるほどになってはいる。
しかし、1店舗の1日当たり売上高を示す日販は、セブンに大きな後れをとっている。17年度はセブンの65.3万円に対し、ファミマは52.0万円にしかならない。13万円以上の開きがあるのだ。ローソンとの比較では、店舗数は勝っているものの(ローソン、1万4159店)、日販は下回っている(ローソン、53.6万円)。こうしたことから、ファミマは十分な競争力を発揮できているとは決して言えないだろう。
もちろん、こうした状況にファミマは手をこまねいているわけではない。社長の澤田貴司氏がファミマの人気フライドチキン「ファミチキ」を擬人化したキャラクター「ファミチキ先輩」を演じるという型破りの宣伝を行ったほか、コインランドリー併設店やスポーツジム併設店といった新業態店を出店するなど、競合のコンビニでは見られない斬新な施策を打ち出している。ただ、宣伝は一過性のものにすぎず、新業態店は全店に応用できる類のものではないため、効果は限定的といえるだろう。持続的で全店レベルで効果がある施策とはいいがたい。
一方、ドンキの手法を取り入れた売り場展開は全店レベルの導入が可能で、持続性もある施策といえる。今回実施した店舗で結果が出れば、ほかの店舗でもドンキ流を取り入れることで日販を大きく向上させることが期待できる。そうなれば、“セブン超え”も見えてくるはずだ。今後の展開が注目される。
(文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント)