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たとえば焼き鳥居酒屋チェーンの大手『鳥貴族』は、以前は280円(税別、以下同)均一をウリにしていましたが、昨年10月に298円均一へ値上げをしたのも、この酒税法改正の影響でしょう。つまり、もともと人手不足で人件費が高騰していたところに、お酒を安く仕入れられなくなったため、それまで通りの格安での提供が難しくなり泣く泣く値上げしたというわけです。月次報告によると、『鳥貴族』は既存店の客単価は対前年同月比100%を超えていますが、客数は昨年11月を除き、大幅に苦戦を強いられています。
しかも昨年の改正は、2026年までに段階的に行われる“酒税法大改正”の第一段階といえるもので、今年以降、さらにお酒の仕入れ原価が高くなっていくことは既定路線となっています」(重盛氏)
原価上昇分をやむなく価格へ転嫁するという“単純値上げ”施策を行った「鳥貴族」に、非難の声は少なかったものの、値上がりという事実に消費者が素直な反応を示したということなのだろう。値上げをせずに価格を据え置いていたとしても、苦肉の策としてさりげなく1杯の酒量を減らしているといった店舗もあるようだ。
だが、「一番の原因は昨年の酒税法改正だが、ほかにも根深い要因がいくつかある」と重盛氏は続ける。
「居酒屋側の内部要因を一言でいうと、チェーン居酒屋はお客様に選ばれる特色が少なくなっているということ。 外部要因を挙げるならば、宴会の絶対数が減少していること、若い世代の宴会離れがあるでしょう。また、『日高屋』や『吉野家』のような“ちょい飲み”店舗の拡大も挙げられますし、一般庶民の懐事情に伴う家呑みの拡大なども挙げられます。
ですが、問題の根が深いのは内部要因のほうでしょう。一例ですが、座席料・お通し代の存在による敬遠や、代わり映えのしないメニュー構成、人手不足によるサービス低下など、“行く魅力や価値”の低下が顕著なのです。そういった状況にもかかわらず、宴会獲得のための早得キャンペーンなどの安売り戦略をいまだに展開しているチェーン店が多いのが現状。
正直、リーズナブルさをウリにした総合居酒屋という業態がはやっていた時代はとうに過ぎ去っており、宴会需要も確実に先細りしていくなかで、今以上の業績を生み出すことは困難。チェーン居酒屋がこのまま変わらなければ、残念ながら復活の兆しは見えてこないでしょう」(同)
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