ビジネスジャーナル > 企業ニュース > ローソン、かつてないコンビニ開始  > 2ページ目
NEW

ローソンが三菱グループの総力を結集して「かつてないコンビニ」をつくり始めている

文=真壁昭夫/法政大学大学院教授
【この記事のキーワード】, ,

 また、2017年1月、ローソンは競合他社に先駆けて、中国のIT先端企業であるアリババのモバイル決済システム「アリペイ」を全国で導入した。主たる目的は、中国などからの訪日客増加への対応だ。ローソンの調査によると、スマートフォンを用いた支払いを選択する消費者の消費額は比較的多い。そうした消費者の取り込みも、ローソンがアリペイを導入した理由だろう。

 さらにローソンは、IoT(モノのインターネット)テクノロジーの活用も重視している。特に「ローソンスマホペイ」は、無人店舗運営に向けた取り組みだ。これは、消費者がローソンのアプリを使い、商品をスキャンして購入(決済)する仕組みだ。

ローソンと三菱グループの関係強化

 こうした取り組みを、ローソンは独自の取り組みとして進めてきた。それに加え、ローソンは三菱グループのヒト・モノ・カネを活用して競争力を高めようとしている。ローソン銀行はその代表例である。

 17年2月、三菱商事は約1440億円を投じて、ローソンへの出資比率を50%超に引き上げ、子会社化した。人事面でも、玉塚元一会長が退任し、新社長に三菱商事出身の竹増貞信氏が就任するなど、三菱商事との関係が強化された。三菱商事の株式の5%程度は、MUFGが保有している。この資本関係が、ローソンが三菱商事を中心とする三菱グループのなかでコンビニ運営の強化を目指していると考える理由だ。

 三菱商事によるローソンの子会社化について、ローソンの経営の独立性が低下していると受け止めるアナリストもいる。しかし、銀行設立など新事業の育成のための資金を、ローソン単体の信用力で調達することは、そう容易なことではない。三菱商事の信用力を裏付けにしてローソンが資金調達のコストを抑えることは重要だ。また、企業間の関係を重視するのは、わが国経済の文化ともいえる。

 三菱グループとの関係強化によって、ローソンにはさまざまなシナジー効果が期待できるだろう。たとえば、三菱商事のロジスティックス(物流)ネットワークを活用することで、ローソンはコンビニの物流機能を強化できるはずだ。ローソンは、スマホで生鮮食品を予約する「ローソンフレッシュピック」の強化を重視している。ローソン単独で生鮮食品の物流網を確立するよりも、三菱商事のネットワークを従来以上に活用できたほうが効率的だ。

ローソンが三菱グループの総力を結集して「かつてないコンビニ」をつくり始めているのページです。ビジネスジャーナルは、企業、, , の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!