2018年4月時点で日本全国に散らばる大学数は、なんと768校であり、文系大学のほうが多い。男女比で見ると、男性55%、女性45%である。理系では男女比率は約2:1である。多くが文系に分類される文理共通学部を文系と考えると、文系では女子の比率が男子より優勢になる。細かい数字に興味のある読者は、以下の「学校基本調査」を参照していただきたい。
前出の日本経済新聞調査では、主要企業での内定比率は理系と文系はほぼ半々であるが、学生数では文系は理系の2倍以上いる。内定率が9割を超えるなかで、数字的にはほとんどの学生がどこかに就職するわけだが、文系学生の就活の主戦場は主要企業以外であり、熾烈であることがうかがえる。女子が多い文系学生においては、昨今問題の医学部入試同様に、企業には男子偏重の傾向が依然強いことも女子学生には不利である。大企業の総合職に就く女子学生は、上位大学に限られている。一方、上位大学以外の女子学生の多くが就活で希望する一般事務職(総務、経理、人事、法務など)も、派遣社員の増加やIT化により、採用は縮小しつつあり厳しい状況である。
現実的には、男女にかかわらず文系学生の仕事の中心は、メーカーであれ、小売りであれ、物流系であれ、サービス系であれ、業種にかかわらず営業系だろう。かりに企業が大学の専門を評価しようとしても、それと営業系という職務がどう関係するのかは不明である。
突き詰めると、就活ルールの存在は、文科省が乱造した大学の文系学生の塊を制度的にどう就職させるかという問題である。要は、高学歴化と称して文科省が大量に認可した大学のほとんどは文系であり、その学生の塊の企業への引き渡しが、就活ルール廃止で問題になっているわけである。
自分で判断するのが苦手な学生は、指針がないと不安で自らは動けない。自己判断が前提となる社会のグローバル化を見据えて、学生を自ら動けるようにするのが大学教育であると筆者は思うのだが、大学は学生が自ら動けないことを前提とした就活ルールの固定化を望んでいる。今回の就活ルール廃止は、多少の混乱は避けては通れないが、学生にとっては、自己判断を促し主体性のなさを克服できる良い機会かもしれないと筆者は考えている。