銀座には「ホテルミュッセ名鉄」(銀座7丁目)が3月に誕生。上野には5月に女性専用フロアもある「ホテルウィングインターナショナルセレクト上野・御徒町」が開業、「星野リゾートOMO5東京大塚」は5月に豊島区にオープンといった具合で、毎月のように新たなホテルが登場している。
新橋6丁目にオープンした「お茶文化で寛ぐホテル」
ホテル開業ラッシュのさなか、地下鉄御成門駅近く(新橋6丁目)に、12月1日にオープンしたのは「ホテル1899東京」。「ミシュランガイド東京2018」に掲載されたホテル龍名館お茶の水本店、ホテル龍名館東京を抱える龍名館が創業期以来100年ぶりに新規開業したブティックホテルだ。
地上9階建て全63室(1泊2万3000~4万5000円)というこぢんまりとしたホテルのテーマは「お茶」。世界的な建築デザイン事務所「ゲンスラー」が手掛けた建物全体のコンセプトは「現代的に解釈された茶屋体験」。平たく言えば、客室やホテル全体で茶屋体験を楽しんでもらおうというものだ。
茶室をイメージした2階のフロントのカウンターには茶釜が用意され、ゲストに日本茶がふるまわれる。客室内のデザインは緑茶をイメージしたグリーンが基調で、茶せんをモチーフにした照明や茶室をイメージした丸窓、縁側を彷彿させるベンチソファなど、まさに茶室空間となっている。
室内には4種類の日本茶が急須、湯呑セットとともに用意され、お茶を味わいながらゆっくり寛いでもらおうという計らいだ。1階のレストラン&デリカテッセンは抹茶やほうじ茶を使った和洋の惣菜、抹茶ビール(12月20日から)などを提供する。
11月下旬に行われた発表会で龍名館の濱田裕章専務は「お茶文化に触れることで、ゆるやかな時間を過ごしていただきたい」「感性、右脳で選ばれるホテルにしたい」と抱負を語っていた。ターゲットは「全体の60~70%が訪日外国人」。19年の宿泊客数目標は2万組、売上目標は4億円だという。お茶文化でインバウンドのハートをつかもうというわけだ。
ラグジュアリーからビジネスまで多種多彩なホテルが群立する東京で、この先どんなホテルが生き残っていくのか。20年に向けホテル開業ラッシュは続く。
(文=山田稔/ジャーナリスト)