なぜライザップが成功したのか、瀬戸社長自身はわかっているのか?その素晴らしい事業
「ゴルフ」でも、「うまくなりたいけど、どうせ三日坊主で続かない」と思っている人に対して、「最短2カ月で、スコア100切りを目指す」ことを打ち出しています。
「ジム」と「英会話」「ゴルフ」は、サービスのカテゴリーが違いますが、ライザップは人の同じ心理を掴まえています。「なりたい自分はあるけど、どうせ三日坊主で続かない」という心の葛藤をとらえ、「三日坊主にならずに、やり遂げる」気持ちにさせます。そして、「結果にコミットする」というコンセプトを、ライザップのブランド資産にすることで、さまざまなカテゴリーへの事業拡大を可能にしているのです。
これは、日本の企業では稀有な、ブランド拡張の成功例です。「ジム」や「英会話」といったカテゴリーに縛られずに、同じブランド・コンセプトで、カテゴリーを拡張していることが見て取れるでしょう。
日本の企業の多くは、商品カテゴリーごとにブランド名をつけます。例えば、ほとんどのジムは、フィットネスクラブやスポーツのカテゴリーでブランディングをしますので、「英会話」や「料理」など他のカテゴリーに拡張することが難しくなります。
また、ライザップは表面的なプログラムにとどまらず、「トレーナー」という人的なリソースが大きなブランド資産になっているため、競合他社に簡単には真似されません。ライザップのトレーナーは、単にトレーニングのスキルが高いだけでなく、顧客会員が目標を達成できるように、つまり「三日坊主にならずに続けられる」ようにする、カウンセラーのようなコミュニケーション・スキルを持っているのです。
瀬戸社長は、ライザップがなぜ成功したか、わかっているのだろうか
ここまで見てきたように、ライザップには非常によくできた事業戦略・ブランド戦略があり、それが成功をもたらしました。
しかし、この成功要因を瀬戸健社長自らは、どのように認識されているのでしょうか。
グループは、この2年間に数多くの業績不振に陥っている企業を次々と買収しました。「負ののれん代」を営業利益に計上することで好業績をつくり出すという手法に魅入られた側面はあったにせよ、買収した企業・事業を「再建」するつもりだったと発表しています。