マクドナルドは現在、厳しい経営状況が続いている。8月には13年12月期連結決算の業績予想を下方修正し、前年12月期に続き2期連続の減収減益となる見通しを発表。当初は前期比増収増益を予想していたが、上半期の販売不振や円安による原材料の調達コスト上昇を受け、前期比で売上高は10%減、営業利益は19%減、純利益は9%減となる。
5月には前任の原田泳幸氏(現会長)が、既存店の売上増を狙い、5年ぶりとなる大幅な価格改定を実施。定番メニューのハンバーガーを100円から120円に値上げする一方、ドリンクなど低価格メニューを拡充した。
7月にはマクドナルド初となる1日限定の高級ハンバーガー「クォーターパウンダージュエリー」3種類を3週連続で発売し、その1個1000円という価格も手伝い話題を呼んだ。
しかし、7月の既存店売上高は前年同月比2.7%減と3カ月ぶりに減少。8月も同1.9%減と2カ月連続の前年割れとなり、苦境が続いている。
そうした中、新社長に就任したカサノバ氏が最初に手をつけたのが、新価格モデルの導入だ。
9月13日から、主力商品であるハンバーガーについて、同じ都道府県内でも、駅前やロードサイド、商業施設内など商圏ごとに9つに細分化し、立地に応じた価格政策を強化し、地域別価格差を広げた。例えば看板商品「ビッグマック」の場合、これまで地域によって290~340円の4段階になっていたが、これを310~390円の7段階にし、東京などの首都圏では大幅な値上げとなった。
●新商品「マックトースト」の感想は?
一方、マクドナルドは今年に入り、お客のお得感向上による客数増を狙い、「マックダブル」や「チキンクリスプ」「マックフライポテト<Sサイズ>」など100円~200円の低価格帯メニューを拡充しているが、その一環として、本日(10月3日)、10月下旬までの期間限定の新商品「マックトースト」を発売。「『マックトースト』は、カサノバ新体制における今後の価格戦略と業績回復を占う上で、大きなカギの一つとなる」(外食業界関係者)との指摘もあり、その売れ行きに業界の注目が集まっているという。
肝心のその商品は、マクドナルドのハンバーガーとしては珍しく、両面をトーストしたバンズを使用し、チェダーチーズ2枚とカナディアンベーコン(ロースハム)をはさんでおり、発売前からネット上では「美味しそう」「厚さが薄っぺらいようだ」などと、早くも話題を呼んでいる。
本日9時30分頃、都内のある店舗を訪れたところ、特に目立った広告などは掲示されていなかったが、「売れ行きは想定より好調」(店員)だという。
実際に購入した40代男性は、「シンプルな味だけど、焼いたパンの風味とサクサク感、チーズ、ベーコンがほどよいバランスで美味しい。これで100円ならお得感があるし、頻繁に食べたい」と好感触を示した。
また、7月の1000円バーガーも食べたという20代女性も、「1000円バーガーは通常のハンバーガーより厚さがあるため食べにくかったが、今回の100円バーガーは厚さが薄くて女性でも食べやすい。また、1000円バーガーは味が濃くて具全体もアンバランスな印象を受けたが、100円バーガーはシンプルな味付けがかえって口当たり良く感じ、個人的にはこちらのほうが好きだ」と評判の様子だ。
一方、「定番な味すぎて面白みがなく、少し安っぽさを感じる」(20代男性)との声も聞かれた。
果たして今回の新商品が、マクドナルドにとって業績低迷からの突破口となるのか? 今後の売れ行きが気になるところだ。
「マックトースト」は全国の店舗(一部除く)でセットでも販売され、価格はコンビ(ドリンク付き)が200円、朝マックのバリューセット(ハッシュポテトとドリンク付き)が340~380円、レギュラーのバリューセット(マックフライポテトとドリンクの付き)が460~520円ほどになる模様で、各店舗により異なっている。
(文=編集部)