東証は大証の発行済み株式総数の過半数を下限とし、買い付ける。上限は3分の2未満とした。買い付け価格は普通株式1株につき48万円。買い付け代金は863億9900万円。買い付け期間は7月11日から8月22日まで。
TOBが成立すれば、東証はいったん大証を子会社化した上で、2013年1月1日付で大証を存続会社として合併。持ち株会社、日本取引所グループが発足する。
早速、揺さぶりがかかった。大証の大株主、英JO・ハンプロ・キャピタルが「大証株式のTOBに応じる考えがない」と、7月10日にブルームバーグが伝えた。TOBを発表した当日にタイミングを合わせたような報道である。JO・ハンプロは大証株式の5%を保有している。TOB価格48万円に対して安いと不満を持っている株主が、結構多いことが背景にある。
7月10日の大証株の終値は45万9000円。終値で計算したプレミアム(割増金)は4.57%。投資アドバイザーは「48万円は、TOBに応募するには説得力のある価格ではない。一部の投資家が不満を示し、賛同しないのも理解できる」とコメントしている。
JO・ハンプロの狙いはTOB価格の引き上げだが、東証、大証の経営統合には、当局のいろいろな縛りもあって、現行の48万円を引き上げる余地は少ないと見られている。
しかし、大証の外国人持ち株比率は64%に達している。これら“青い目の株主”が大証株を買った動機は、東証との経営統合を見越して統合してできる新会社の株主になるために保有したのか、TOBの際に高値で売り抜けることを狙ったものかのいずれかだろう。48万円では安すぎると判断している投資家から、どの程度の賛同を得られるかは不透明だ。
非上場の東証株の株主構成は、大証との統合をきっかけに様変わりする。東証の株主は107社の証券会社。2001年の東証の株式会社化に際して東証の会員だった証券会社に2万株ずつ平等に分配した。すでに一部の証券会社は持ち株を売却。2012年3月期末の筆頭株主は、モルガン・スタンレーMUFG証券の10万株、4.40%で、日本アジア証券が保有していた株を購入したとされる。2位はSMBCフレンド証券とゴールドマン・サックス証券の各6万株、2.64%。ゴールドマンは日本株から撤退したHSBC証券などから株を取得したとみられている。4位は三菱UFJモルガン・スタンレー証券の5万5000株、2.42%だ。5位はリテラ・クレア証券で4万1000株、1.8%である。