「同じ会社の仲間で今から飲みに行こう」「1次会で盛り上がっているところなのに、時間制限で店を追い出された。2次会に行きたい」といったシーンを思い浮かべると、「イマノモ!」の利用シーンが見えてくる。アプリでわずかな項目を入力するだけで、居酒屋からオファーがもらえるので、店探しでふらふら歩き回る必要がなくなる。少しくらい酔っていても、地域と人数と時間くらいならタッチ入力できる。
また、「なんとなく外食して帰りたい」という流動的な消費者を、飲食店に流入させる効果もあるという。
飲食店を探すのが面倒くさいから、デパ地下やスーパーで総菜や酒類を購入し、家で「中食」を選択している消費者が対象だ。飲食店からオファーをもらえば、飲食店を探す面倒をかけずに外食できる。
「加盟店からは、よく『2回転目の客がなかなか取れない』という声を耳にする」(丸山氏)
「2回転目の客」とは、2次会を探している客や、夜8~9時くらいまで残業した仲間同士で飲みに行こうとしている客が該当する。これらの客が出したリクエストを逃さず、オファーを出すことで来店機会が獲得できるのだ。
オファーは、加盟店の店員が持つ業務用のスマートフォンやタブレットから出せる。テーブルの片付け中などで電話に出られないときも、手元のスマートフォンでオファー送信のタッチ操作なら可能という場合も多い。
このようにして、飲食店を探している消費者と来店機会が欲しい飲食店とが、最小限の操作で出会えることになる。
●対応エリアは拡大できるか?
5月現在、対応エリアは首都圏の都心部のみ。オファーを出すためには、ぐるなび加盟店が「イマノモ!」の利用規約同意手続きをする必要がある。しかし、一旦オファーを出せる環境が整えば、他の飲食店に水をあけられる。
「オファーを出せる加盟店は、5月29日現在で400店舗を超え、今もなお増加中です。また、加盟店がリクエストを受けてからオファーを出すまでにかかる時間は、1分以内が26%で、5分以内が63%となっています」(丸山氏)
対応エリアを拡大した場合、ユーザーのリクエストに対する5分以内という素早いオファーを継続するには、加盟店数を今以上に増やさなければならない。しかし、加盟店が増えた場合、ユーザーにとって選択肢が増えることは間違いないが、それが満足度向上や新たなユーザー獲得につながるとは限らないだろう。
(文=久我吉史)