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鷹野義昭 「ここが肝だよ! テレビCM戦略」 第8回

ハイボール、爆発ヒットを呼んだ巧妙CM戦略?女性や家庭に需要拡大、居酒屋と協力関係

文=鷹野義昭/CM戦略アナリスト・マーケティングディレクター

 しかしサントリーは慌てることなく、CM全体のイメージはそのままで、即座に菅野美穂さんにバトンタッチして乗り切ります。このように柔軟に対応できるのは、CM自体を「タレントのイメージに頼ってつくる」のではなく、CMによって「タレントの魅力を最大限に引き出す」というスタイルが確立されているからにほかなりません。

 一連のCMでは、人々の印象に残る共通要素を含んでいます。

 まずは楽曲。「ウイスキーが、お好きでしょ」というメロディと歌詞は、多くの人の耳に定着していることでしょう。歌っているのは、最初が石川さゆりさんで、次はゴスペラーズ、そして竹内まりやさんと受け継がれました。菅野美穂さんの登場するCMはハナレグミ、現在はORIGINAL LOVEの田島貴男さんの歌声に替わっています。

 女優さんを替えるだけでなく、それぞれ特徴のある魅力的な歌手の歌声も、このCMが視聴者を飽きさせない大きな理由のひとつかもしれません。

 さらには、歌手や女優が替わっても、「美しい女主人」「カウンター越しの会話」「グラスに泡が立つ透明感」「黄色のトーン」などの要素は、CM開始当初から変わっていません。こうした気品ある強い「CM内の部品」たちによって、全体的なCMの方向性がしっかりと確立され、完成度の高いオリジナリティが出せるのです。

 この基本フォーマットを崩さないからこそ、タレントが替わっても視聴者がすぐに「ハイボールのCMだ」と認識できるわけです。

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●ハイボール文化の確立

 次に、角ハイボールのCMカウンター・シーンの変遷を、広告メッセージから追ってみましょう。

 最初のCMは、小雪さんがハイボールをつくるだけのシンプルなもの。言ってしまえば、ハイボールとは、ただのウイスキーのソーダ割りです。

 しかし、ハイボールという聞きなれない言葉が人々の興味をぐっと引き寄せ、幅広く世に知らしめることに成功しました。

 そして2年後、「ハイボールはどうやってつくるの?」という疑問に、「父の日にハイボール」のキャンペーンでしっかりと答えていきます。カウンターに座るお客の女性に、そのつくり方を小雪さんが伝授。バーという専門店のみならず、一般家庭の需要へと広げていきます。

鷹野義昭

鷹野義昭

株式会社テムズ代表取締役<CM戦略アナリスト・マーケティングディレクター>
1963年、長野県生まれ。大手広告代理店を経て、90年より現職。テレビCMを中心としたマーケティング戦略立案に携わり25年以上。1000素材を超すテレビCMの戦略策定・分析・広告効果測定の実績を持つ。
主な著書に『CM好感度NO.1だけどモノが売れない謎 ‐明日からテレビCMがもっと面白くなるマーケティング入門‐』(ビジネス社)などがある。近年では、秀逸なローカルCM・地方PR」動画を集めたサイト「ぐろ~かるCM研究所」の所長を務める。

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