女性の活躍を促す実験店が、埼玉・西武所沢店だった。12年4月に女性中心の店舗運営に切り替えた。同店は女性の正社員比率を3割から8割に引き上げ、係長以上の管理職は全員女性にするなど、女性活用の成功例といわれている。店長を務めていたのは堤氏で、女性が働きやすい職場をつくり業績もアップさせた、百貨店改革のリーダーだ。
●三越伊勢丹は女性店長ゼロ
そごう・西武を含む大手百貨店4社の女性管理職の割合は2割程度で、女性店長の割合は微々たるものだ。
高島屋は早くから男女共同参画型企業への取り組みを行っており、マネージャーやバイヤーといった基幹業務の女性比率を年々高めてきた。12年には正社員に占める女性の割合が半数を超え、13年9月に肥塚見春取締役が代表取締役専務に昇格して大きな話題になった。大手百貨店の中で、生え抜きの女性社員が代表取締役に就任するのは初めてのケースだったからだ。
肥塚氏は、10年2月に岡山高島屋社長兼店長に就任。女性ならではの視点でさまざまな改革を行い、13年2月期には同社を5期ぶりに黒字転換させた。その手腕を買われ、13年5月には高島屋の取締役に抜擢され、わずか3カ月余りで専務に昇格した。現在は鈴木弘治会長、木本茂社長に次ぐ序列3位の専務で、営業本部長、ライフデザインオフィス長、購買本部、個人情報管理室担当を兼務する。そんな高島屋でも、17店のうち女性店長は玉川店の1人だけだ。
大丸松坂屋は19店のうち女性店長は、冨士ひろ子・執行役員大丸大阪・梅田店長、柚木和代・執行役員大丸神戸店長、香川暁子・執行役員大丸札幌店長の3人。大丸札幌店はローコスト経営のモデル店として開店以来10年間、連続増収を維持してきた。11年目の今期も、売り上げ増が確実視されている。
他方、高級化路線を強化する百貨店最大手の三越伊勢丹ホールディングスが展開する百貨店は国内に28店あるが、女性店長はいない。
顧客、従業員の大勢を女性が占める職場において、女性店長が増える傾向にあるのは、むしろ自然な流れといえるのではないか。さらに女性店長が改革に成功する事例が生まれるたびに、それは加速するだろう。そして、百貨店業界にとどまらず、女性活躍のモデルケースとなる可能性も秘めているといえる。
(文=編集部)