政府が今月の閣議決定を目指す経済財政運営の基本指針「骨太の方針」の中で、2025年度から30年度までの「経済・財政新生計画」の期間中も、国と地方を合わせた基礎的財政収支(PB)の黒字基調を継続する方向性を打ち出すことが7日、分かった。日銀の金融政策修正による「金利のある世界」の到来を見据え、財政健全化努力を堅持する姿勢を示す。
岸田文雄首相は4日に開いた経済財政諮問会議で、30年度までの6年間を対象とする経済・財政新生計画を策定すると表明した。骨太の方針は、新計画について「日本経済の新たなステージへの移行を支える」と位置付けた上で、「当初の3年程度で必要な制度改革を含め集中的な取り組みを講じていく」と強調する。
財政健全化に関しては、25年度に国と地方のPBを黒字化し、債務残高対GDP(国内総生産)比を安定的に引き下げる現行目標を維持すると盛り込む。それ以降の目標の在り方については、政府・与党内で調整した結果、「PB黒字基調の継続」を明示する方向となった。
「金利のある世界」に戻り、借金である国債の利払い費が膨らめば、先進国で最悪の水準にある日本財政の運営は厳しさを増す。このため、骨太の方針は「金融政策は新しい段階に入った。政府は引き続き日銀と密接に連携し、経済・物価動向に応じた機動的なマクロ経済政策運営を行っていく」との認識を示す。
毎年度の予算編成の際に、社会保障費の伸びを高齢化に伴う自然増の範囲にとどめるといった「歳出の目安」の下で、歳出削減に向けた改革を続ける方針も維持する。
経済・財政新生計画の策定には、デフレ完全脱却を実現するとともに、人口減少が本格化する30年度までの経済財政運営の道筋を示す狙いがある。
骨太の方針は、当面の経済運営に関しては「円安による輸入物価の上昇を通じた家計の購買力への影響等にも注意が必要だ」などと指摘する。(了)
(記事提供元=時事通信社)
(2024/06/07-16:03)