“勘三郎タブー”と『聞く力』100万部突破のカラクリ
一方、出版取次大手トーハンが12月3日に発表した「年間ベストセラー 総合」では『寝るだけ! 骨盤枕ダイエット』ではなく、『聞く力』が1位を獲得している。うーん、どのランキングを信じればいいのか。
そんな中、今週に入り、『聞く力』が今年唯一の100万部を突破する本になったと各メディアが報じた。
しかし、この100万部とはなんなのか?
出版社が印刷・出荷した数=いわゆる発行部数なのか? 実際に書店で売れた数=いわゆる実売部数なのか? そもそも、出荷したところで実際に売れていなければ、ミリオンセラーというには無理はあるのではないだろうか。
文藝春秋新書編集部に聞いてみると、「100万部は発行部数です」との回答だった。
文藝春秋は、今回一気に『聞く力』を15万部増刷して、発行部数100万部を突破させた。かなりの“力技”だ。これについては「100万部突破をまったく意識していなかったわけではないです。ただ、年間1位ということが各メディアで報道され、結果的に書店からの受注が増えました。また、印刷所が年末年始休みなので、年明けの受注が追いつかなくなる可能性があるので、15万部増刷しました」(同社新書編集部)という。ちなみに、実売部数はまだ集計ができていないので不明とのこと。
“100万部突破”という冠をまずつくり、それを宣伝文句に実際に実売100万部を目指すというダイナミックな売り方は、さすがの文藝春秋。今年一番「売れた」本かどうかはまだわからないが、今年一番「刷られた」本であることは間違いない。
さて、阿川佐和子『この人に会いたい』に並び称される文春の長寿企画といえば、『淑女の雑誌から』。今回は、独身時代の逆ナンテクについての淑女の告白が目を引いた。こちらも要チェックです。是非、両御大をご購読あれ!
(文=本多カツヒロ)
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