次に体表に近いがん、たとえば乳がんなども比較的に早期発見が可能です。マンモグラフィーや超音波検査法などで発見できます。また、がんの発生が血液でキャッチしやすい特別ながんもあります。その代表が前立腺がんで、罹患していると前立腺特異抗原(PSA)という物質が血中に増えてきます。
一方、見つけにくいのは、内視鏡などで直接観察しづらい臓器にできるがんです。その代表が膵臓がんです。おなかの深い部分にあって、通常のレントゲンでは写らず、超音波などでも早期発見は難しいです。卵巣がんも大きくなるまで発見が難しいです。
–女性が日常的に注意すべきこと、またセルフチェックのポイントなどはありますか。
後藤 子宮頸がんなどは早期から出血、特に性行為に伴う出血が生じやすく、そのような場合はすぐに婦人科を受診するほうが良いでしょう。
乳がんも自己チェックで発見できる場合があります。目で見て皮膚の変化、陥没などがないか、乳房から脇の下を十分に手で触診します。定期的に行うことで、わずかな変化にも気がつきやすくなります。病院での乳がんの検診は触診だけでは不十分ともいわれますが、自己チェックは細かい変化にも気がつきやすく意義があります。
がんの予防法
–体質や遺伝、家系、生活習慣などで、がんになりやすい傾向はあるのでしょうか
後藤 正常細胞は細胞分裂する際に遺伝子を複製します。この時、複製にミスが生じると、遺伝子、DNAに異常が発生します。これが多段階にわたり、がん細胞が発生します。このがん細胞の発生は、喫煙などの発がん因子によって促進されることになりますが、発がん因子がなくとも偶発的に誰でも起こっています。しかし、がん細胞が発生したら必ずがんにかかる、発病するというわけではありません。
DNAに異常が発生すると、それを修復する機構が働きます。あるいは、そのような異常な危険な細胞は自殺するような仕組みが備わっており、多くは消滅します。そのような働きが遺伝的に欠損している場合があり、例えばBRCAという遺伝子の異常があると、乳がんや卵巣がんが高い確率で発生することが知られています。アメリカの女優のアンジェリーナ・ジョリーさんが予防的に乳房を切除したことは有名です。