太陽系、明確な境界線に囲まれ宇宙空間内で隔絶…銀河系内を時速80万kmで突進
ボイジャー2号はプラズマ波計測装置も正常に作動しており、プラズマ密度を計測した結果、見えない壁のようにプラズマ密度が急速に数十倍の密度に変化する地点があるということです。先行しているボイジャー1号も同様の観測結果を送ってきていることから、太陽系全体として星間空間とは隔絶されていることは間違いなさそうです。
一方で、磁場の計測結果については科学者の予想とは逆で、プラズマ密度の境界線を越えても磁場にはほとんど変化が生じませんでした。ボイジャーのデータは解析すればするほど、太陽系と星間空間に関する謎が深まるばかりですが、残念なことに、搭載されている原子力電池はあと5年から10年程度で観測装置の動作に必要な電力を賄うことができなくなるので、優先順位をつけて観測機器をシャットダウンし、節電しなければならなくなります。それまでの間、どれだけのデータが得られるか、多くの天文学者は期待を寄せています。
(文=中西貴之/宇部興産株式会社 品質統括部)
【参考資料】
「Volume 3 Issue 11, November 2019」(nature astronomy)