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南清貴「すぐにできる、正しい食、間違った食」

インフルエンザに罹らないための食事術

文=南清貴/フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会代表理事
インフルエンザに罹らないための食事術の画像1
「Getty Images」より

 今年はずいぶん早くからインフルエンザ流行の兆しが見え、用心していた方も多いのではないでしょうか。

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 厚生労働省健康局結核感染症課が発表している、インフルエンザ様疾患発生報告第十一報によると、患者数は東京都(2149人)と沖縄県(1759人)が突出して多く、筆者が在住している岐阜県は101人と低いほうではあります。

 毎年、インフルエンザワクチンに関しては、賛成派と反対派の間で喧々諤々の論争が続いていますが、公平に見て筆者は、打たないほうがいいと思っており、反対派に入ります。

 なぜ筆者がインフルエンザワクチンを接種することに賛成できないのかといえば、インフルエンザはウイルスによって発症するものだからです。そのウイルスは時々刻々、形を変えていき、ワクチン製造は時間的に、それに追いつかないだろうと考えるからです。また、同じくインフルエンザがウイルス感染であるがゆえに、抗生物質の投与も意味がないと思っています。細菌(バクテリア)とウイルスでは分子量が違います。ウイルスは細菌の1000分の1の分子量だと考えられています。したがって、細菌よりもはるかに鼻腔や気道を通過しやすく、だから感染、発病しやすいという特徴も持ち合わせるわけです。

 抗生物質の効果というのは、細菌の細胞壁がつくられるのを阻止することによって、細菌が増殖できないようにするものですが、インフルエンザウイルスには抗生物質が作用する部位が存在しないので、効果がありません。それで、インフルエンザに罹った時には抗生物質ではなく、抗インフルエンザ薬であるタミフルやリレンザ、イナビル、ゾフルーザなどが処方されることになります。しかし、これらの薬剤には重篤な副反応(副作用)もあることから、投与に関しては慎重さが要求されます。

 幸いなことに、筆者自身もですが、家族も親しい友人の中にもインフルエンザに罹ったという人はいません。もちろん、自分も含めて周囲の誰もワクチンを打っていません。ついでに言うと、インフルエンザに罹らないためにという理由では、マスクもしません。これまた無意味だからです。インフルエンザウイルスは分子が小さいので、難なくマスクを通り抜けます。

 医療機関に勤めている人のなかには、ワクチンの投与を受けたくないと意思表示すると、「それだったら辞めてくれ」みたいことまで言われて、半ば強制的に無理矢理、ワクチンを接種を受けさせられるケースもあるようです。知り合いの娘さんは、ワクチンの接種を拒んだために「非国民」とまで言われたそうです。

 ワクチンの効果がないということがわかってきたためか、賛成派の人たちはワクチンを接種することで感染は防ぐことはできないが、感染した時に軽く済むというようなことまで言い出す始末。

 いずれにしても、自分の体のことで他人から強制されるのは、いかがなものかと筆者は考えています。

免疫力を高める食事

 結局のところ、インフルエンザの予防なら、普段の生活、とりわけ食生活が大事、というところに行きつくのではないでしょうか。

 それは詰まる所、自分自身の免疫力を高めるということになるのでしょう。栄養学的に見ると、免疫力を高めるためにはビタミンA、ビタミンB群(8種類ある)、ビタミンC、ビタミンE、亜鉛などが必要です。これらを網羅的に摂取するためには、いつも筆者が唱えている「オプティマルフードピラミッド」の一番下の段、つまり未精製の穀物と豆類と、下から2番目の段、つまり多種類の野菜がメインの食事が最適(オプティマル)である、ということになるわけです。

 また、私たちの体の中で、もっとも多くの免疫細胞を有しているのは「腸」です。60兆個あるとされる人間の細胞の数ですが、そのうちの2兆個は免疫細胞だといわれています。免疫細胞の約70%は腸の中に存在しています。したがって、腸の状態を良好に保つことは、免疫細胞を元気に保つことにつながるのです。

 未精製の穀物や、豆類に多く含まれている食物繊維は、腸の状態を良好に保つために、なくてはならないものですが、もうひとつ重要なのは、発酵食品を適度に食べることです。発酵によって生じる「微生物」が、免疫力を強化するのに役立ちます。

 抗生物質を投与されると、腸内菌叢がズタズタにされて免疫力は極端に落ちます。医療機関で抗生物質を処方されそうになったら、このことを思い出して、ご自分の明確な意思を表明したほうがいいかもしれません。

 さらに、私たちの免疫力を強化してくれる食品があります。それはハーブの一種「エキナセア」です。エキナセアはキク科の植物で、古くからアメリカインディアンが感染症の治療に使っていたといわれているものです。歯痛や、喉の痛み、傷の治癒などにも使われていたようです。

 エキナセアは、免疫賦活作用をもたらすことがわかっており、それによってマクロファージ(細菌を殺す白血球の一種)が増殖します。マクロファージが活発化することで、キラーT細胞と呼ばれる、感染細胞を殺す役割を持つ細胞が増殖するのです。ウイルスの増殖を抑制するインターフェロンの分泌も促進され、私たちの体が異物と闘う準備ができあがると考えられています。

 エキナセアは、液状のものや粉末のもの、カプセルに入ったもの、エキスを水で割ったものなど、さまざまなタイプの商品が出回っているので、必要と思われる方は、ご自身に合ったものを選択なさるといいかと思います。選択するというのは、決して消極的な行動ではなく、創造のプロセスなんだということを、忘れないでいただきたいと思います。
(文=南清貴/フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会代表理事)

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『大切な人に食べさせたくないもの、食べてほしくないもの』(ワニプラス)

 このたび、本連載を抜粋したものに大幅に加筆、修正を加えた本を上梓いたしました。私たちの食生活に欠かせない最新情報満載です。どうぞ、お読みください。

南清貴

南清貴

フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会
代表理事。舞台演出の勉強の一環として整体を学んだことをきっかけに、体と食の関係の重要さに気づき、栄養学を徹底的に学ぶ。1995年、渋谷区代々木上原にオーガニックレストランの草分け「キヨズキッチン」を開業。2005年より「ナチュラルエイジング」というキーワードを打ち立て、全国のレストラン、カフェ、デリカテッセンなどの業態開発、企業内社員食堂や、クリニック、ホテル、スパなどのフードメニュー開発、講演活動などに力を注ぐ。最新の栄養学を料理の中心に据え、自然食やマクロビオティックとは一線を画した新しいタイプの創作料理を考案・提供し、業界やマスコミからも注目を浴びる。親しみある人柄に、著名人やモデル、医師、経営者などのファンも多い。

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