洗濯ブラザーズ
僕たち、洗濯ブラザーズです。劇団四季、シルク・ドゥ・ソレイユ、クレイジーケンバンドをはじめとする国内外の有名アーティストの舞台衣装のクリーニングを行っている僕たちが、間違いだらけの洗濯術についてお教えします。
ドライクリーニングでは落ちない汚れがある
クリーニング屋さんに洗濯物を出しても、実は、汚れが落ちていないことがあります。せっかくお金をかけてクリーニングをしても、キレイになっていないというのは、とても残念ですよね。
僕たちは、横浜でクリーニング店「LIVRER YOKOHAMA(リブレ ヨコハマ)」を経営しているのですが、お客さんとお話をしていて気づいたことがあります。それは、「冬物の衣類は、ドライクリーニングに出すもの」と思い込んでいる方が多い、ということです。しかし、ドライクリーニングでは、落ちない汚れがあるのです。代表的なものが、「汗」の汚れです。
ドライクリーニングとは、水を使わずに、石油系の溶剤を使って洗う技術です。水と油は反発しあいますから、たとえば、水(水溶性)の汚れである「汗」は、油で洗ってもキレイに落ちません。とくに、ウールやカシミアのセーターなどは、汗を吸収しやすいので、ドライクリーニングではなく、水洗いが断然おすすめです。
本来、ドライクリーニングとは、水に弱い素材の繊維を傷めないために、水の代わりに油を使って洗う方法のことです。ですので、水に弱い「皮革」「毛皮」「レーヨン」「キュプラ」「アセテート」などは、ドライクリーニングに出してください。
最近は、複数の質の異なる繊維が使われている洋服や、新しい繊維も出てきていますし、水洗いをしているクリーニング屋さんもありますので、不安な方は、クリーニング屋さんに相談してみるのがよいでしょう。それと、光沢があるもの、シワ加工があるものは、自分で洗いにくいので、プロに任せることをおすすめします。
新品の風合いを蘇らせて、キレイに汚れを落とす方法
では、ウールやカシミアのセーターの洗い方をお伝えします。
汚れをキレイに落とし、衣類を長持ちさせ、新品の時のような風合いを蘇らせるには、やはり、水洗いがおすすめです。水洗いは面倒……、と思われる方もいるかもしれませんが、洗濯桶に水と洗剤を入れて、3分間の押し洗いが基本ですから、さほど手間がかかりません。しかも、押し洗いで、洗濯桶の水がだんだんにごってきますので、「汚れが落ちて、キレイになっている!」ということが実感でき、水洗いが楽しくなるはずです。
(1)ぬるま湯(30℃以下)に中性洗剤を入れて、よく混ぜる
洗濯桶や洗面台に、たっぷりの水を入れます。洗剤の量は、洗剤の裏面に表示されている「手洗い」の使用量か、やや少なめにします。セーターを傷めないためのポイントは、しっかり泡立てることです。市販の洗剤でも大丈夫ですし、僕たちが開発したデリケート素材用のオリジナル洗剤もありますので、僕たちのサイトをのぞいてみてください。
(2)3分ほど押し洗い
セーターを裏返して、袖や裾、首回りなどを内側にして畳み、水にしっかり沈めてください。約3分間押し洗いをします。途中、水からあげて、ジャーッと水気を落とし、また沈めて、あげて……を繰り返します。
(3)洗濯ネットに入れて、洗濯機で1分間脱水
洗濯ネットの中でセーターが動かないように、ネットの余った部分は縛ってください。うまく回らないときは、乾いたバスタオルを1枚入れるとよいでしょう。
(4)キレイな水ですすぐ
ネットから出して、新しい水ですすぎます。押し洗いと同じ要領で行ってください。
(5)洗濯ネットに入れて、洗濯機で再び1分間脱水して、干す
バスタオルの上にセーターを置き、形を整えて平らに干します。タオルが濡れてきたら、取り替えてください。もしくは、2本の太めのハンガーを使って干します。通常の服を干すときのように肩にハンガーを通し、もう1本に裾と袖をかけて重みを分散させます。
僕たちの初めての本『日本一の洗濯屋が教える 間違いだらけの洗濯術』(アスコム刊)では、写真やイラストを交えながら、さまざまな衣類の洗濯のしかたを紹介していますので、もしよかったらご覧ください。
次回も僕たちプロのクリーニング屋が実践する洗濯術を紹介します。キレイになって、クリーニング代の節約にもなる、目からウロコの洗濯術ばかりです。ぜひ試してみてくださいね。では、また。
(文=洗濯ブラザーズ)