眠気に襲われやすく仕事に集中できない、電車内では常に寝ている、体を動かすのが億劫だといった症状がある人は、もしかしたら炭水化物不足が原因かもしれない。
「単品の食品を取り続けたり、炭水化物など特定の栄養素の摂取を制限する食事は正しいダイエットではありません。これらは体重を落とすことのみに焦点を当てた方法で、体脂肪を落とせず、健康を害する可能性の高いものです」(同)
やはりバランスの取れた食事と、適度な運動が大切ということだ。森谷氏は、正しい食事を前提とした上で、「炭水化物を正しく取ることでやせられる」と主張する。
「たとえば、お酒を飲んだ後などに、シメとしてラーメンやうどん、お茶漬けなどの炭水化物が欲しくなることがあります。これは、食事中に糖分が不足していたため、満腹感を得られていなかったことが原因です。糖分を取っていれば、脳は満腹感を得られます」(同)
つまり、食事の際には、まずごはんを食べることで、その後に飲み食いする量を抑えられるというのだ。腹を膨らませるのではなく、脳に満腹感を与える。それが食べ過ぎを防ぐことにつながる。
主食である炭水化物を我慢して懸命にダイエットに励んでいる方も多いようだが、それで体を壊しては意味がない。正しく炭水化物を摂取して、健康的にやせるこの理論、試してみてはいかがだろうか。
(構成=編集部)
●森谷敏夫
1950年、兵庫県生まれ。1980年、南カリフォルニア大学大学院博士課程修了(スポーツ医学、Ph.D.)。テキサス大学助教授、テキサス農工大学大学院助教授、京都大学教養部助教授、カロリンスカ医学研究所国際研究員(スウェーデン政府給費留学)、米国モンタナ大学生命科学部客員教授等を経て1992年、京都大学大学院人間・環境学研究科助教授、2000年から同科教授。2016年から京都大学名誉教授。現在は、京都産業大学と中京大学の客員教授を務める傍ら、国際研究学術雑誌の編集委員長や査読委員もこなし、講演やテレビ出演も多い。
『結局、炭水化物を食べればしっかりやせる!』 注目を集めている「糖質オフダイエット」。糖質や炭水化物を制限してやせる、この方法を、本書の著者は「危険」と言う。その理由をはじめ、ご飯をはじめとした炭水化物を食べてやせる方法を、この本でわかりやすく説いていく。