大ブームの水素水グッズ、超高額インチキ商品が氾濫!なんの健康効果もなく無意味
ただし、人間への健康増進効果は、この水を飲めば寿命が延びるなどというものではなく、信じられないほど高額なアルカリイオン水製造装置が売られている状況は、悪質というほかありません。悪質な業者ほど大量の機能性を掲げ、超高額な製品を販売していますが、中身はいずれも大した効能は期待できません。
電気を流すとどうなるのか
水道水に電気を流す――。そうすると、どうなるのでしょうか。
不純物を一切含まない純水であれば、電気を極めて流しにくいため電気分解はしにくいのですが、水道水は消毒用の塩素化合物をはじめ多くのイオンを含んでおり、電気を流すとたやすく陽極(+極)に酸性の水、陰極(-極)にアルカリ性の水が出来上がります。
そのまま電気を流し続ければ、強い酸やアルカリができます。それに伴い危険性が増すため、飲用に用いるアルカリイオン水ではpH9~10程度の弱いアルカリ性にします。水道水にはカルシウムがそれなりに含まれていますから、アルカリイオン水は、いわば水酸化カルシウムの薄い水溶液であるともいえます。
ちなみに、この電気分解をすると陰極側に水素が気体として発生しますが、空気中に放出されなかったものがマイクロバブルとして水に溶け込み、その液体が「水素水」と呼ばれて販売されているものです。
巷では、「アルカリイオン水と水素水は別物」と言い放っている業者もありますが、どこがどう違うのか、そしてどのように目に見えるほどの健康増進効果があるのか教えてほしいものです。
個人的には、体調も体質も無視してアルカリイオン水(水素水)を飲むことは、誰にとっても健康に良いとは思えません。空腹状態でアルカリ性の水をガブガブ飲むと胃壁に悪そうです。それでもどうしてもアルカリイオン水を飲みたいという人は、大型家電ショップで名の通ったメーカーのものを買うのが無難です。
なぜなら、大手メーカーは零細悪質業者と違って他社との競合もあるため、性能に対してメチャクチャな高額で売ることはできないのです。当然、使われている部品や装置の完成度も、零細企業の謎の多い製品に比べてマトモなので、極端に強いアルカリ性の水が出てきたりする心配も少ないと考えられます。
(文=へるどくたークラレ/サイエンスライター)