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山本康博「なぜあの商品はヒットしたのか/しないのか」

流暢な会話ができ、どんどん自分好みになっていくロボット発売…スマホの全機能が搭載

文=山本康博/ビジネス・バリュー・クリエイションズ代表取締役

【比較】
ロボホン:身長約20cm、体重約0.4kg、二足歩行可、価格19万8000円(税別、以下同)
ペッパー:身長約121cm、体重29kg、二足歩行不可、価格19万8000円
・アイボ:身長約26cm、体重約1.5kg、四足歩行可能、価格25万円

小柄だからいつも持ち運びたい

 ロボホンの身長は19.5cm、重さは390g。小型で机に置いたり、バッグに入れても邪魔にならないサイズである。専用バッグに入れて持ち運ぶこともでき、常に一緒にいることで愛着がわくだろう。また、大きな目はプロジェクター機能にもなっているので、写真やムービーを投影して旅行先やパーティなどの盛り上げ役にも一役を担うだろう。

性能の音声認識

 ロボホンの最大の特徴はロボットとは思えないようなとても流暢な会話だ。例えば、メールが届いた時には「○○さんからメールだよ」と話しかけてくれる。それだけではなく、「読み上げて」と話しかけると届いたメールの本文をスムーズに読み上げてくれる。そのほかにも、ロボホンは非常に流暢な会話ができ、なおかつ人の顔や名前を憶えてくれるので、まるで生きているかのように感じる。また、会話を覚えることもできるので、使っていくにつれてどんどん自分好みになっていくだろう。

ロボットだからこそできる動き

 ロボホンはスマホとしての機能も素晴らしいが、もちろんロボット特有の機能も搭載している。例えば、踊ってと言えば愛らしい踊りを披露してくれるし、「こっちに来て」といえば歩いて手元に来てくれる。人間のようなアクティブな動きで、立ち上がることもできる。

「ココロ、動く電話」というキャッチフレーズのように、ロボホンは購入したユーザー一人ひとりとの会話を重要視しており、何かを予測して会話をすることはしないようだ。例えば、ユーザーの好きな食べ物などを予測してしまうと、「なんで知っているんだ?」とすべてを知られているような気持ち悪い気分になる、という理由らしい。

 そのような細部まで行き届いたこだわりや妥協しない姿勢が、ロボホンを生み出したのだ。ロボホンの本体価格は19万8000円で、ほかに月額980円の利用料やモバイル通信環境が必要となる。

 くしくも6月22日、台湾で行われたホンハイの株主総会で、シャープについて国内外で7000人程度の人員削減が示唆されたため、今後ロボホン開発・生産が継続されるのかは不透明だ。いずれにせよ、AI搭載型ロボットの生産をホンハイ一社が独占することには懸念を感じる。
(文=山本康博/ビジネス・バリュー・クリエイションズ代表取締役)

山本康博

山本康博

ビジネス・バリュー・クリエイションズ
代表取締役、損保ジャパン顧問。ブランドマーケッター。日本コカ・コーラ、日本たばこ産業、伊藤園でマーケティング、新商品企画・開発に携わり、独立後に同社を設立。これまで携わった開発商品は120アイテム、テレビCMは52本制作。1年以上継続した商品は計算すると3割以上、メーカー側でマーケティング実績35年。現在では新商品開発サポートのほか、業界紙をはじめとしたメディア出演や寄稿、企業研修、大学等でのセミナー・講義なども多数実施。たたき上げ新商品・新サービス企画立ち上げスペシャリスト。潜在ニーズ研究家。著書に『ヒットの正体』(日本実業出版社)、『現代 宣伝・広告の実務』(宣伝会議)、2016年スタンフォード大学 David Bradford 名誉教授、ボストンカレッジ Allan Cohen 教授の推薦書として、世界に向けて英著、 “Stick Out”a ninja in Japanese brand marketingを全世界同時発売開始。『Stick Out~a ninja marketer』(BVC)、現在ブレイク中で話題のAmazon書籍総合1位も獲得したベストセラー『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』(致知出版)の一人として8月1日執筆など。

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