コロナ自粛の影響でますますデリバリーサービスの需要が高まっている。そんななか日清食品が「一風堂」や「すみれ」などの人気ラーメン店と手を組み、お店の味を自宅やオフィスに届けてくれるデリバリーサービス「RAMEN EX」を5月11日より開始した。提供される商品はどれもレンジで温めるだけですぐに食べられるという。
日清食品といえばインスタントラーメンのイメージが強いため、わざわざデリバリーサービスを新規展開しなくてもいいのでは? という疑問もよぎる。だが、「RAMEN EX」公式ページでの説明を見ると、“これまでラーメンのデリバリーが抱えていた「麺が伸びる」「スープが冷める」といった課題を、弊社がインスタントラーメンで培ってきた高度な技術によって解決…”とあり、むしろ日清食品だからこそ実現できるサービスなのだと納得させられる。
現在配達可能なエリアは東京西麻布店、東京新宿店、大阪梅田店の3店舗から半径3.5km圏内とかなり限定されているものの、6月には福岡店もオープン予定。順次、対応エリアが拡大していくようだ。
注目度満点のこのサービスはSNSでも話題にされているが、その多くはエリア圏内に在住する人を羨む内容で、実際にサービスを体験したユーザーの感想はまだ少ない。そこで、今回はラーメンファンの間で噂の「RAMEN EX」を体験し、率直な感想をレポートしていきたい。
「Uber Eats」か「出前館」からスマホで簡単注文
「RAMEN EX」は「Uber Eats」または「出前館」からスマホで注文。店頭や電話での注文は一切受け付けていないとのことだ。今回筆者は「Uber Eats」から注文してみることに。
「RAMEN EX」のページにアクセスすると“ただいまご利用いただけません”との表示が出ており、いきなり壁にぶち当たった。筆者がサービスを利用したときは雨天であり、昼時。配達員がなかなか見つからないのだろうと思い、しばらく待つことに。
しかし、1時間半待っても注文できる気配がなかったため、痺れを切らして「RAMEN EX」新宿店に問い合わせ(ちなみに公式ページで公開されている電話番号は、問い合わせ専用とのことだ)。すると、「Uber Eats」のネットワークトラブルでつながりにくくなっていたとのことで、その後すぐに注文することができた。発足したてのサービスゆえの不安定感なのだろうか。
注文できるのは、「一風堂監修 博多とんこつラーメン」(1080円、税込み、以下同)、「すみれ 札幌濃厚味噌ラーメン」(1080円)、「ますたに 背脂鶏ガラ醤油ラーメン」(1080円)、「無鉄砲監修 とんこつラーメン」(1080円)に加え、日清食品オリジナルの「豚天国ラーメン」(1380円)だ。
実際にその店舗で食べる価格帯と同程度かと思っていたが、どれもしっかり1080円とやや割高の価格設定。今回筆者は「一風堂監修 博多とんこつラーメン」を注文することに。このメニューは「RAMEN EX」のために開発・監修した商品だという。
商品の料金1080円にサービス料と配送手数料が追加され合計金額は1438円(筆者は「Uber Eats」の利用自体が初めてだったためか、100円割引された)。やはり、「一風堂」の店頭で食べるよりお高いが、「RAMEN EX」のために麺やスープを新たに開発しているという背景や、指定の場所まで運んでくれることを踏まえると妥当だろうか。
レンジで6分、温めるだけなのにお店の味にかなり近い
注文から30分。「Uber Eats」の配達員が自転車に乗って現れ、商品を配達してくれた。「Uber Eats」ならクレジット決済のため、会計は必要ない。
袋を開けて見ると、ラーメン本体と調理方法の説明書、割り箸とプラスチック製の蓮華のセットだった。黒ベースのパッケージがスタイリッシュだ。
ラーメン本体は具材と麺・スープに分かれている。付属の調理方法の説明書を見ると、麺・スープのみを電子レンジで温めるようだ。加熱の目安は600Wで6分か、500Wで7分。中皿のフタをかぶせてから電子レンジで温めていく。
レンジで温め、ラスト1分ともなると、ラーメン屋の前を通ったときのような食欲を刺激する香りが漂ってきた。温め終わり、容器をレンジから取り出す。このとき、容器が高温になることもあるので、やけどには要注意。
容器を取り出したら、箸で軽く麺をほぐしながらスープをかき混ぜる。そこに、先ほどの具材を盛り付けたら完成である。一見すると、まさに“お店のラーメン”と言えるほどのクオリティの高さ。
ではいよいよ実食。まず麺からいただこう。細い麺の食感も1本1本クリアに感じられるほどのコシがあり、おいしい。麺が伸びないからこそ実現できるコシなのだろう。強いて言えば普段、博多ラーメンをバリカタやハリガネで注文している人にとっては少々物足りなく感じるかもしれない。麺の硬さの好みによって、オススメの加熱時間を教えてくれればなお良し、とも思うが、本当に十分な美味しさだ。
もやしやねぎ、キクラゲなどの具材も鮮度が保たれていて食感がまったく失われていない。日清食品が自信を持って「これまでのラーメンデリバリーの課題を解決している」と豪語するだけのことはある。
続いてスープはどうだろうか。いやな重さはないのにこってり濃厚な味わいがたまらない。とんこつの臭みはほとんどなく、旨味だけがぎゅっと閉じ込められている印象だ。正直、香ばしさはお店で食べる「一風堂」のラーメンに及ばないと感じるものの、デリバリーラーメンの常識をはるかに超えたクオリティだと言える。
「RAMEN EX」は「Uber Eats」や「出前館」で手元に届けば、もろもろの所要時間を入れても10分程度で食べられる。しかもこだわりや品質の高さはカップラーメンやコンビニラーメンとは比べものにならないと感じた。
“そのまんまお店のクオリティ”と断言するのは憚られるが、仕事の休憩時間にその場で食べられたら間違いなくご馳走になるだろう。現在はデリバリー対象のエリアが限られている「RAMEN EX」だが、今後さらにエリアを拡大させ、多忙な大人たちに至福のひと時を届けてほしいものである。
(取材・文=泥沼蛙/A4studio)