暑い夏になると無性にうなぎを食べたくなるという人も、少なくないだろう。不足しがちな栄養素を補い、夏バテ予防にもなるともいわれ、多くの日本人に好まれる食材だ。
しかし近年、うなぎの漁獲量が減少したことで価格は高騰し、スーパーなどで売られているものですら、なかなか手を出せないレベルの価格になりつつある。
そんななかで話題になっているのが「うなぎの蒲焼きもどき」。今夏、近畿大学が開発したなまずをうなぎ味に仕立てた「なまずの蒲焼き」を、大手スーパー「イオン」が売り出したのは記憶に新しいところだが、なまず以外にも「うなぎの蒲焼き」の味や見た目を“ほぼ再現”でき、気軽に食べられるものはないだろうか。
そこで今回、2014年に『寺嫁ごはん 心と体がホッとする“ゆる精進料理”』(幻冬舎)を上梓し、精進料理研究家として日本の伝統食の考え方やレシピを発信している麻生怜菜氏に、「スーパーで買える安い食材を利用した、うなぎもどきの作り方」を伺った。
豆腐をベースに片栗粉や大和芋を使用
――近年うなぎの価格が上がり、気軽に食べられなくなってしまいました。そんな状況でも、誰でもが“うなぎの味”を味わえる方法はないのでしょうか。
麻生氏 実はうなぎを使わずにうなぎの蒲焼きに似たメニューをつくる方法があります。作り方は、お豆腐をすりつぶして成形し、フライパンで焼いてタレをつけるだけ。ただそれだとつなぎがないので、片栗粉を混ぜたり、ふっくらさせるために大和芋をすりおろして入れたりする必要があります。大和芋はジャガイモや長芋でも代用が可能ですが、粘着性でいうと大和芋を使用したほうがより成形しやすくなりますね。味付けはタレによるものが大きいので、うなぎの蒲焼きに用いるタレと同じものを使えば、本物さながらの味になります。
――具体的なレシピや調理手順を教えてください。
麻生 2人前の「うなぎの蒲焼きもどき」をつくるとすると、すり鉢に水をよく切った木綿豆腐120g、砂糖小さじ1杯、塩小さじ1/4杯を加えてなめらかになるまですります。豆腐だけでは甘みが足りないので、うなぎ本来の甘みに近づけるために砂糖を入れてください。そのあとはコクを出すためにすりおろしたごぼう20g、大和芋20gを入れ、さっくり混ぜます。このとき、混ぜすぎるとふっくら感が損なわれてしまうので注意してください。