食中毒は真夏よりも、少し涼しくなってきた秋に多く発生しています。
調理する側は、真夏には温度管理に細心の注意をしていても秋になると注意が甘くなりがちで、一方の食べる側は体力がちょうど落ちてくることが要因といわれています。
私たちは、食事の前に必ず手を石けんで綺麗に洗うことを子供に教えます。実際に、幼稚園、小学校でもそのように学んできました。これからの時季に多く発生するノロウイルスによる食中毒に対しても、根本的な対策はなく、調理する方と食べる方の双方が徹底した手洗いで防ぐことが重要です。
手を洗うときには、特に指と爪の間を綺麗に洗うことが大切です。指はさまざまな物に触れます。パソコンのキーボードやスマートフォンの画面などを、アルコールを染み込ませたティッシュで拭いてみると真っ黒になり、指の触れている所が非常に汚れていることに驚くと思います。
爪の間に入ってしまった汚れを取るのは、爪ブラシを使用しても難しいものです。飲食店、スーパーマーケット、コンビニエンスストアなどで食品を取り扱う人は、爪を短く切って、爪と指の間に汚れがたまらないようにすべきです。手のひら側から見て、爪が見えない長さにします。短かすぎても、深爪=怪我になってしまうので注意が必要です。
手指に怪我をしていると、そこが黄色ブドウ球菌などの巣になってしまいます。手を綺麗に洗う段階で、怪我があるかどうかも確認することが必要なのです。
9月になると、コンビニでは「おでん70円セール」などが始まります。店内にはおでんの匂いが広まり、思わず食べたくなってしまいます。
しかし、おでんを準備している店員の爪にマニキュアが塗ってあれば、「この店員は手を綺麗に洗っていない」と判断できます。ミサンガ、腕時計、指輪を着けた状態も、不衛生といえます。
マニキュアなどは採用時の面接で注意し、毎日の出勤時にも注意できるはずです。マニキュアを塗っている店員は、店の責任者、本部からの指導者、働いている全員が衛生の基本に興味を持っていない証拠といえます。
いまや都会では、コンビニが乱立しています。十分に衛生教育ができないまま、店内でお弁当、惣菜、パンなどを調理する店も増えてきています。おでん、肉まんなどは、常に加熱してある状態になっているので大きな食中毒事故の可能性は低いですが、衛生の基本である手洗いができていない店では、食品を購入しないことが大切です。
スーパー、コンビニが町に1軒しかない場合は、食中毒事故が発生して無くなってしまうと生活に困りますので、店員がマニキュアを塗っている証拠写真とともに店の責任者、本部に改善を要求するべきです。
レジに並んでいるときに気がついたら、「マニキュアを塗っている方からは食品を買えません」と伝えて買い物をやめませんか。
(文=河岸宏和/食品安全教育研究所代表)
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