食品添加物は、煮る・焼く・揚げるなど食品と共に加熱されると、化学変化を起こします。つまり、添加物が加えられた食品は、加えられる前とは違った物質に変化します。こうした食品の化学反応の例を、いくつか挙げてみましょう。
(1)発がん性物質ができる例
肉や魚などに含まれるアミン類(鮮度が悪いほど多く含まれる)は、肉類などの発色剤として使用される添加物、亜硝酸ナトリウムと反応して、ニトロソアミンという物質を生成します。ニトロソアミンは発がん物質として有名であり、急性的には肝臓障害も起こします。
(2)煮る程度の加熱でも化学変化が起きる例
生の牛肉に砂糖としょう油を加え加熱すると、大変おいしくなりますが、生の牛肉に砂糖としょう油を加えただけでは、とても食べられません。これは加熱することにより非常に複雑な化学反応が起こり、「すき焼き」独特の旨味成分と香気成分が生成されるからです。これはほんの一例にすぎません。
これらの例のように、食品の成分は加熱、空気酸化などにより非常に複雑な化学反応を起こし、さまざまな化学物質を生成します。
たとえば、カマボコというひとつの食品には、ソルビン酸、ポリリン酸ナトリウム、着色料、ソルビトール(表示されていない場合が多い)、酢酸ナトリウム、加工デンプン(合成化合物)など、いくつもの食品添加物が使用されています。
カマボコの原料である魚のすり身に、これらの添加物を加え加熱し、カマボコをつくるわけです。この場合、これらの添加物は相互になんらかの化学変化をしないのでしょうか。合成保存料であるソルビン酸の分子には、共役二重結合という非常に化学反応を起こしやすい部分があります。
さつま揚げも、このカマボコと同じようにして作られますが、百数十度の食用油で揚げます。この場合には、かなりの化学変化が起こることが十分考えられます。これらの食品添加物同士、また食品添加物とカマボコの成分がどのような化学反応を起こすのかは、未解明です。化学反応の結果生成した物質の安全性は、まったく研究されていません。食品中では、色々な化学変化が起こるということを前提に考えなければなりません。
検証されるべき安全性
添加物をいくつも同時に食べることに関する安全性は、まったく証明されていません。カマボコはほんの一例であり、ハム、ソーセージ、お菓子類などにはさまざまな添加物がタップリ入っています。添加物メーカーの責任において、次の点を検討していただきたいと思います。
(1)添加物同士、添加物と食品との化学反応について
現在の化学分析技術を活用すれば、不可能ではありません。
(2)複数の添加物を同時に食べた場合の、人体に対する影響について
まず動物で試験を行い、その結果安全であれば、人体における安全性試験を行う。
一般消費者は現実に食品添加物を食べているのですから、添加物メーカーは、この程度の試験は行うべきではないでしょうか。
(文=小薮浩二郎/食品メーカー顧問)