新型コロナウィルス感染拡大の影響により、リモートワークやオンライン授業が普及してきている昨今。他者の目がないプライベート空間ではスマホ、ゲーム、ネットなどの誘惑が多く、意志の弱さから仕事や勉強に集中できないという方も少なくないだろう。
この手の悩みは以前から受験生などが抱えていたものだが、在宅時間が長くなったため、そのような問題を抱えている人は学生・社会人問わず増えているのではないだろうか。そういったなかで集中力が散漫になる悩みをお持ちの方に、ぜひ試していただきたいのが、ボックス型のアイテム「タイムロッキングコンテナ」(以下、コンテナ)だ。
これはスマホやゲームコントローラーなど誘惑の対象となるものをボックス内に入れ、任意に時間を設定してから蓋を締めるとボックスにロックがかかるという仕組み。設定した時間が経過してロック解除されない限り、中のものが取り出せないわけである。
昨年4月に東大生・謎解きクリエイターである松丸亮吾氏がTwitterでこの商品について投稿したことで一時期流行したのだが、コロナ禍の今、誘惑を断ち切ることができる有能ボックスとして再び注目が集まっているのである。
そこで、コロナ禍でリモートワークとなり、業務時間内でもついついプレイステーション(PS)4でゲームをして仕事の生産性を落としてしまっている筆者が、PS4のコントローラーをコンテナの中に入れ、仕事に集中できるかどうかをレポートしてみたい。
プラスチック製の円柱状ボックス、しっかりした頑丈なつくり
Amazonでコンテナと検索すると、さまざまなメーカーからデザインや大きさが異なる商品が数多く発売されていることがわかる。3000円台で買えるものから1万円を超えるものまであるが、今回はPS4のコントローラーが入る大きさのボックスで、比較的に安価だった3799円のものを注文した。
注文の翌日、商品到着。パッケージには「欲望をコントロール!!」「目的を持って時間をコントロール」「悪い習慣を取り除くのに役立ちます」といった謳い文句が並んでいる。パッケージや説明書の日本語に違和感があったが、案の定、中国メーカー製であった。一抹の不安はよぎるが、きちんと目的通りの使い方ができるのであれば問題ないだろう。
ちなみに箱の側面には用途が書かれており、スマホ、ゲーム、テレビのリモコン、タバコ、酒、クレジットカードなどをしまっておけるという例が挙げられている。なるほど、確かに嗜好品などをしまっておくという使い方もできる。
箱の中身はボックス本体、説明書、USBケーブルのみ。このボックス自体は単4電池2本が必要で、USBケーブルは時間を表示するデジタル画面のバッテリーが切れた場合の充電用ケーブルとのこと。
ボックスはプラスチック製だが、頑丈でしっかりしたつくりだという印象を受けた。裏側には滑り止めがついており、机の上などにボックスを置いていたとき、うっかり滑って落としてしまうといったことが起こらないようになっている。
最大で約1000時間(約41日間)までロック設定できる
単4電池を電池ホルダーの中に入れると、ピーッという音とともにボックスが起動した。さっそく中にPS4のコントローラーを投入。すっぽり収まった。
蓋を閉め、時間を設定する。「H」と書かれたほうが“時間”を設定するボタン、「M」と書かれたほうが「分」を設定するボタンになっており、一度ロックすると設定時間が経過するまで中身が取り出せないというわけだ。
最大で999時間59分59秒、最短で1分の時間が設定できる。約1000時間まで設定できるということは、日数に換算すると最大約41日間。スマホを1カ月以上、封印してしまうと何かと不便だろうが、例えば仕事の繁忙期や試験前などにゲームを1カ月禁止したい際に、ゲームコントローラーを封印するという使い方はできそうだ。
5時間ロックに挑戦――生産性の向上と達成感を得られた
まず、試しに5時間ロックすることにした。時間設定後、真ん中の鍵のボタンを押すと、ピッピッという音付きでカウントダウンが始まり、そのままロック。思っていたよりも簡単に設定することができた。
ということで、コンテナを机の上に置いてパソコンで仕事開始。
ロックから2時間以上が経過した頃、コンテナが視界に入っていたため気になり始め、少しボックスをいじってみることに。ボックスの蓋のデジタル画面に表示されている時間は1秒刻みで進んでおり、“2時間41分54秒”といった残り時間が表示されていた。
試しに蓋を捻るなどして、力づくで開けようと試みるもビクともしない。さすがである。腕力に自信がある男性でも、素手で開けるのはほぼ不可能に思える。もちろんプラスチック製のボックスのため、カナヅチなどを使えばボックスを破壊して中身を取り出せるのだろう。だが、逆にいえばボックスを破壊しない限り、設定時間が来るまで封印したものに触れることはできないはずだ。
しかし、ボックス自体が目に入るとどうしても気が散るので、集中したいときは少し離れた場所に置き、視界に入らないようにすることをおすすめする。
その後、ボックス(とPS4コントローラー)の存在自体を忘れ仕事に没頭していると、ピピピッという電子音とともに、蓋が自動的にパカッと空いた。どうやらいつの間にか5時間経過していたようだ。
突然音が鳴ったため声を出すほど驚いてしまったが、この音の機能も中央の鍵のボタンを3秒間長押しすればサイレントモードにすることができるとのこと。サイレントモードにしておけば今回のように、ロック解除時に集中力が途切れる心配もないだろう。
使ってみた率直な感想としては、確かに誘惑を断ち切るにはうってつけの有能ボックスだと感じた。筆者のように、一度ロックがかかった状態のボックスを力づくで開けようとしてみるのも、意外といいかもしれない。ボックスが頑丈ゆえに、腕力で強引に開けようとすることがとても不毛に感じられ、良い意味であきらめがつくのである。結果的に自分を律することができ、精神力が鍛えられるという感覚もあった。
また、設定した時間が終わり、蓋が開いた瞬間、達成感が湧き上がったのは思わぬ副作用といった感覚。実際、そのロック中の5時間の仕事の生産性は普段よりも高く、効果も実感できた。
72時間(3日間)ロックに挑戦――ストレスで逆効果?
5時間のロック実験で高い効果を実感できた筆者は、次は一気に72時間(3日間)のPS4コントローラー封印にチャレンジしてみることに。しかし結論から言うと、丸3日間ロックするのは筆者にとっては時期尚早で、大いに後悔することになった。それまでほぼ毎日、数時間単位でゲームを楽しんでいた筆者にとっては、丸3日間ゲームができない環境は、正直、かなりストレスとなってしまったのである。
1日目の前半は仕事に集中できていたが、1日目の後半から禁断症状が出始め、2日目はゲームができないイライラで逆に集中力が減退。3日目はある程度あきらめがついたのか、2日目ほどイライラは募らなかったが、仕事がはかどったという印象はなかった。そもそも筆者は、その日の仕事をがんばった自分へのご褒美として、ゲームに興じてリフレッシュしていた部分もあったため、生産性向上を阻害していた可能性さえある。
ロックしていた3日間の仕事の達成状況を踏まえると、結果的に通常の3日間よりも仕事は多少はかどっていたが、2日目に感じたストレスの悪印象が強く、もうしばらくは丸3日間のロックはやめておこうと思うに至った。
もちろん個人差はあるだろうが、ロックされていることによってイライラが募ってしまいそうだという懸念がある方は、いきなり長期間ロックするのはおすすめできない。最初は数時間程度のロックから初めて、1時間ずつロック時間を延ばしていくなど、徐々に慣らしていくのがいいのではないだろうか。
ただ、丸3日間ロックの失敗は、筆者が自分の意思の弱さやストレス耐性への認識が甘く、誤った使い方をしてしまったためという感想。コンテナの性能としては、申し分ないと感じた。
在宅で仕事や勉強をする時間が増え、人の目がないことから自分を甘やかしてしまっていたという人も多いだろうが、そんな日々に罪悪感を抱いてしまっている方々には、ぜひこのコンテナを試してみていただきたい。