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硫酸タリウムの販売規制を
次に、筆者が経験した殺鼠剤のワルファリン中毒の事例について紹介する。
40代男性が、殺鼠剤のデスモア(ワルファリンが0.05%含有)を約50g服用して自殺を試みた。ワルファリンは、脳や心臓血管の血栓、あるいは塞栓症の治療や予防を目的として広く用いられている薬である。
一方、殺鼠剤としての効果は、摂取したネズミが腹腔内出血や脳出血などの出血傾向によって短期間で死亡する。
ワルファリンのネズミに対する毒性は、ヒトの50倍。この患者は、鼻出血、皮膚の点状出血、下血、歯肉出血が認められたが、出血傾向を抑制するビタミンK1の経口投与によって出血は治まり、8日後に退院した。
硫酸タリウムの使用は厳重に規制すべきである。殺鼠剤の主流がタリウムから他剤に移行したため、犯罪や自殺に使用されるケースは大幅に減少した。しかし、薬店では固形タリウムなどが現在でも販売されている。悪用を防止するため、販売には規制が必要と思われる。
(c)
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