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「中毒症状を見たい」同級生に劇物を飲ませた元名大生、使われた「タリウム」って何?

文=横山隆
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硫酸タリウムの販売規制を

 次に、筆者が経験した殺鼠剤のワルファリン中毒の事例について紹介する。

 40代男性が、殺鼠剤のデスモア(ワルファリンが0.05%含有)を約50g服用して自殺を試みた。ワルファリンは、脳や心臓血管の血栓、あるいは塞栓症の治療や予防を目的として広く用いられている薬である。

 一方、殺鼠剤としての効果は、摂取したネズミが腹腔内出血や脳出血などの出血傾向によって短期間で死亡する。

 ワルファリンのネズミに対する毒性は、ヒトの50倍。この患者は、鼻出血、皮膚の点状出血、下血、歯肉出血が認められたが、出血傾向を抑制するビタミンK1の経口投与によって出血は治まり、8日後に退院した。 
 
 硫酸タリウムの使用は厳重に規制すべきである。殺鼠剤の主流がタリウムから他剤に移行したため、犯罪や自殺に使用されるケースは大幅に減少した。しかし、薬店では固形タリウムなどが現在でも販売されている。悪用を防止するため、販売には規制が必要と思われる。
(c)

連載「恐ろしい危険ドラッグ中毒」バックナンバー

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横山隆

横山隆

日本中毒学会評議員(同学会クリニカルトキシコロジスト)、日本腎臓学会および日本透析学会専門医、指導医。1977年、札幌医科大学卒、青森県立病院、国立西札幌病院、東京女子医科大学腎臓病総合医療センター助手、札幌徳洲会病院腎臓内科部長、札幌東徳洲会病院腎臓内科・血液浄化センター長などを経て、2014年より札幌中央病院腎臓内科・透析センター長。2015年8月に同病院退職。

専門領域:急性薬物中毒患者の治療特に急性血液浄化療法、透析療法および急性、慢性腎臓病患者の治療。

所属学会:日本中毒学会、日本腎臓学会、日本透析医学会、日本内科学会、日本小児科学会、日本アフェレシス学会、日本急性血液浄化学会、国際腎臓学会、米国腎臓学会、欧州透析移植学会など。

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