中国から製品輸入されたから揚げはノーチェック
鶏肉はブロイラー肉を使用しますが、ブロイラーの最大の不安は、賞味期限切れよりも抗生物質や抗菌剤など薬剤の残留です。ブラジル産、中国産、国産にかかわらず、抗生物質や抗菌剤で薬漬け飼育されているブロイラーは少なくありません。
特に製品輸入されたから揚げなどは薬剤の残留検査はフリーパス同然です。とりわけ、中国のブロイラーの薬漬け飼育は、中国政府が問題としているくらいです。
ヒナの段階から、感染予防のために毎日、飼料に抗生物質のリンコマイシン、さらに成長ホルモン剤を規定の使用量以上入れて飼育しています。こうこうと電灯をつけて夜も眠らせず餌を食べ続けさせ、わずか40日程度でブロイラーを食肉加工場に出荷します。
中国政府は「中国国内の食品で危険な食品が出回っているのは認めるが、輸出向け食品はまったく別管理で厳しくしている。国内向け食品で問題が起きたからといって、それがそのまま輸出されることはない」と説明してきました。
しかし、輸出用の鶏肉は中国国内とは別の環境で飼育しているというのが、まやかしであったことが「上海福喜食品」の一件で明らかになりました。上海福喜食品は中国国内の最大手鶏肉加工品メーカーですが、国内用も輸出用も同じ飼育環境のブロイラーを使用していたのです。
WHOが危険だと警鐘を鳴らす添加物
抗生物質や合成抗菌剤が残留している食品を食べ続けると、体内に薬剤耐性菌が生まれ、万が一病気になったときに抗生物質がまったく効かないおそれがあります。
さらに、コンビニから揚げは、抗生物質残留の不安ばかりではありません。子どもたちはから揚げが大好きですが、子どもの将来に悪影響が出る恐れのある食品添加物が使われているのがコンビニのから揚げです。
まず、白身の魚肉や抗生物質、抗菌剤漬けの鶏肉をくっつける結着剤として縮合(重合)リン酸塩(ピロリン酸塩、ポリリン酸塩、メタリン酸塩)が使われています。縮合リン酸塩を使うことで食肉加工品や練り製品のコシを強くすることができます。
しかし、縮合リン酸塩は、多量に摂取すると老化が早まり、腎臓障害を起すと国際毒科学会で報告されています。また、日大医学部病院の富田寛元副院長は、縮合リン酸塩は味覚障害の原因になると指摘しています。
また、コンビニのから揚げには、ナイアシン(ニコチン酸アミド)、リボフラビン(ビタミンB2)、乳酸カルシウムなどの添加物が栄養強化剤として添加されているケースが多くあります。
乳酸はWHO(世界保健機関)が乳児用に使用すべきではないと警告されている添加物です。乳酸カルシウムなら安全というのはおかしなことです。
いずれにせよ、から揚げの原材料を明らかにしているコンビニは皆無です。子どもたちが大好きな食品だけに、ホームページ上で原材料をすべて公開すべきです。
シリーズ「子どもには絶対に使ってはいけない生活用品」バックナンバー
●郡司和夫
フリージャーナリスト。1949年、東京都生れ。法政大学卒。食品汚染、環境問題の一線に立ち、雑誌の特集記事を中心に執筆活動を行っている。主な著書に『「赤ちゃん」が危ない』(情報センター出版局)、『食品のカラクリ』(宝島社)、『これを食べてはいけない』(三笠書房)、『生活用品の危険度調べました』(三才ブックス)、『シックハウス症候群』(東洋経済新報社)、『体をこわす添加物から身を守る本』(三笠書房・知的生き方文庫)など多数。