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南清貴「すぐにできる、正しい食、間違った食」

梅干し、驚愕の効能…着色料・酸味料まみれのエセ梅干しは食べても無駄

文=南清貴/フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会代表理事

胃がんやインフルエンザ、糖尿病にも有効

 果物や野菜など、普段からアルカリ性食品を食事で摂取する必要があるのですが、梅雨の時期や、初夏にはいつもより積極的にアルカリ性食品を摂りたいものです。そんな時、梅干しは、とてもありがたい食品なのです。おにぎりの具材に梅干しを使ったり、弁当のごはんにも梅干しが添えてあったりします。あれは、梅干しが持つ防腐効果を知っていた先人たちの知恵ですが、体の中でもその効果は発揮されます。

 主成分であるクエン酸が疲労回復に効果があるといわれていますし、梅雨時に多いといわれる食中毒などに対しても、その効果が立証されています。梅干しには、クエン酸をはじめとしてフマール酸、リンゴ酸、オキザロ酢酸、グルタル酸、イソクエン酸、アコニット酸、コハク酸と、8つの有機酸が含まれていますが、これらが強力な殺菌作用を持っているのです。しかもその作用は、長期熟成をさせたほうが効果が高いともいわれています。

 黄色ブドウ球菌やO-157を使った実験でも、その有効性は証明されています。さらに驚くべきは、胃がんの原因のひとつと疑われているピロリ菌に対して「シリンガレシノール」というポリフェノールの一種が抑制効果を発揮したということや、インフルエンザウイルスに対して、やはりポリフェノールの一種の「エポキシリオニレシノール」が効果を発揮し、また糖尿病にも「オレアノール酸」という物質が良い作用をもたらすということです。

 梅干しはすでに、奈良時代には日本で食されていたようですが、平安時代に中国から、塩漬けにした梅が入ってきて、薬として梅干しが使われるようになります。鎌倉時代には、戦に行く武士が梅干しを常備していたといわれているので、梅干しの効果・効能が認められていたのでしょう。

 筆者が残念に思うのは、そんなに素晴らしい伝統食品である梅干しが、現代ではどうも軽んじられているようだからです。最近は、梅干しの原材料である梅の実も、多くが輸入ものといわれており、熟成の期間も極端に短く、それをごまかすために防腐剤、着色料、酸味料など大量の食品添加物や、「アミノ酸」という名称でたんぱく加水分解物も大量に使われています。

 それは、形こそ梅干しに似てはいますが、本当の意味の梅干しとは違うものと考えるべきでしょう。その“エセ梅干し”に効果・効能を期待しても無駄というものです。今では、国内産の梅を使って、きちんと長期熟成させて、塩化ナトリウムではない良質の天然塩でつくった“本物”の梅干しを見つけることが難しくなってしまいました。これはメーカーと販売側の見識のなさとともに、消費者の意識の低さを物語っているともいえますが、このままでいいはずはありません。

 今日も、数年前に亡くなった筆者の両親が、つくって残してくれた梅干しをありがたく頂きながら、ちょっと鈍りがちな体に喝を入れています。それにしても、父と母がつくってくれた梅干しが残り少なくなってきたのが心配なので、来年あたりは自分でつくろうかなどと考えております。
(文=南清貴/フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会代表理事)

南清貴

南清貴

フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会
代表理事。舞台演出の勉強の一環として整体を学んだことをきっかけに、体と食の関係の重要さに気づき、栄養学を徹底的に学ぶ。1995年、渋谷区代々木上原にオーガニックレストランの草分け「キヨズキッチン」を開業。2005年より「ナチュラルエイジング」というキーワードを打ち立て、全国のレストラン、カフェ、デリカテッセンなどの業態開発、企業内社員食堂や、クリニック、ホテル、スパなどのフードメニュー開発、講演活動などに力を注ぐ。最新の栄養学を料理の中心に据え、自然食やマクロビオティックとは一線を画した新しいタイプの創作料理を考案・提供し、業界やマスコミからも注目を浴びる。親しみある人柄に、著名人やモデル、医師、経営者などのファンも多い。

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