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バイアグラは心臓病にも有効?

文=ヘルスプレス編集部
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バイアグラには「陰茎」に限らず「脳」の血管も拡張

 さて、バイアグラは、生体内で環状グアノシン一リン酸(cGMP)の分解を促す5型ホスホジエステラーゼ (PDE-5) の酵素活性を阻害し、陰茎周辺部のNO(一酸化窒素)作動性神経に作用するため、血管が拡張し、血流量が増えるので、ED(勃起不全)が改善される。

 だが、バイアグラは、陰茎に限らず脳を介した血管拡張を促進する作用があることから、慢性心不全、肺高血圧症(特に新生児の心室中隔欠損症や動脈管開存症)、開心術中・術後、急性肺傷害などの適用が認められている。

「キスペプチン」を投与すると、性的興奮を促進する効果

 ところで、このバイアグラの有効性ではないが、「脳に作用するバイアグラ」を示唆する研究がある。

 英インペリアル・カレッジ・ロンドン医学科のアレキサンダー・コムニノス博士らの研究チームは、脳内の視床下部で自然に生成されるホルモンの「キスペプチン」を被験者に投与したところ、「性的興奮を促進す」る効果を確認したとする論文を臨床学術誌『Journal of Clinical Investigation』に発表した(1月27日付「ニューズウィーク」)。

 発表によれば、研究チームは、健康な若い男性の異性愛者29人を対象にキスペプチンまたはプラセボ(偽薬)を静脈注射。カップルの性的な画像やロマンチックな画像を見せてMRIスキャナーで脳を調べたところ、キスペプチンを投与した男性の性的反応が強化された。

 キスペプチンは、生殖腺刺激ホルモンの分泌を促進し、性生殖機能や性的興奮を高める効果があるため、性心理的障害(心理的な性の問題)の治療に役立つ可能性がある。

 また、被験者にネガティブな感情を喚起する画像も見せたところ、キスペプチンを投与されると、ネガティブな感情を抑える働きをする脳部位の活動が強化されることも確認できた。

 コムニノス博士によると、「性心理的障害」や「うつ病」は併発しやすいが、今回の成果は「キスペプチンが性心理的障害やうつ病の治療に役立つ可能性」を示していると説明する。

 ステント治療に活路を見つけたバイアグラ。「脳に作用するバイアグラ」キスペプチン。どちらも人類を幸福に導く「良薬」であってほしいものである。
(文=ヘルスプレス編集部)

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