扇風機も、エアコンも嫌いな筆者でありますが、やはり寝る時だけはエアコンを使います。もちろん、1時間ほどタイマーをかけての使用なので、朝目覚めた時には汗をかいています。自宅にいる時は、日中もほとんど使わず、手ぬぐいではちまきなどをしつつ、家族にも笑われつつ、原稿を書いたりしています。昔から、なぜか扇風機の風に当たると体調が悪くなります。エアコンも、どの温度帯がもっとも快適なのかわからずじまいでこの歳になってしまいました。ほかのことはともかく、ここは順応力がないようです。
一般的に、暑くて汗をかくと「ビタミンCを補給しなければ」と思う方が多いのでしょうか。街中でも、ビタミンCが入った清涼飲料水を飲んでいる方を見かけます。確かに、夏場のビタミンC補給は大事です。しかし、その質にもよるので、むやみやたらにビタミンCを摂ればいいというわけではありません。
日本で使われているビタミンCは、「L-アスコルビン酸」とも呼ばれます。実は、この大半は中国産だということをご存じでしょうか。食品添加物(酸化防止剤)として、緑茶などのペットボトル飲料にも使われています。ビタミンCに限らず、中国産の食品添加物が劣悪であることは周知の事実ですが、それは副産物である不純物が多いからです。つまり、ビタミンCを合成してつくり出す時に、ほかの物質も化学合成され、それが多量に含有されているのです。もちろん、合成されたビタミンCそのものの質も劣悪です。清涼飲料水の中には、「1本の中にビタミンCが1000ミリグラムも含まれている」などと掲げている商品もありますが、多く摂ればいいというわけではないので、注意が必要です。
WHO(世界保健機関)では、L-アスコルビン酸の1日摂取許容量は、成人で体重1キログラム当たり0.25グラムまでとしています。日本の厚生労働省も、ビタミンCの摂取推奨量は1日100ミリグラムとしています。こうしてみてみると、1000ミリグラムものビタミンCを含んだ清涼飲料水が、いかに異常であるかがわかります。
いうまでもなく、レモンやイチゴなどの果物に含まれている天然のビタミンCを摂ることは問題ありません。ただし、アメリカの看護師の教科書には、「ビタミンCの過剰摂取は結石をつくる可能性がある」と明記してあるそうです。やはり、摂りすぎは控え、適量を知らなければなりません。ちなみに、果物は1日に1サービング、つまり自分の両手に載る程度の量が適量と考えられています。
看護師や一部の医師に確認したところ、日本ではビタミンCの過剰摂取が結石をつくる可能性があるとは教えていないそうです。
発がん物質が生成される
もうひとつ、私たちが注意しなければならないのは、L-アスコルビン酸と安息香酸ナトリウムという物質が混じると、発がん物質であるベンゼンがつくられてしまうことです。これは、「微量だから大丈夫」などとはいえません。ベンゼンは東京・築地市場の豊洲移転問題でさかんに報じられて有名になった危険物質ですが、私たちのもっと身近なところにも危険があるのです。
清涼飲料水の裏に記されている成分表を見ると、ビタミンC(L-アスコルビン酸)+安息香酸ナトリウムという組み合わせは、とてもありふれたものです。そしてこのコンビが生み出すベンゼンは、非常に危険です。
夏場、大汗をかいた子供たちは、大きなペットボトルの清涼飲料水をグビグビと飲んでいます。大人でも、街中の自販機で買った清涼飲料水を飲むことがあるでしょう。ぜひ、清涼飲料水を飲む前に成分表を確認してください。
他方、メディアには、スポンサーへの配慮の前に、消費者に対して正しい情報を提供するという、本来あるべき姿勢を優先することを期待します。
「ベンゼンが生じるとしても微量だから大丈夫」と勝手に判断するのではなく、大丈夫かどうかを消費者が判断できるようにすべきです。事実を知ったうえで、ビタミンC+安息香酸ナトリウム入りの清涼飲料水を、「もう飲まない」と判断する人がいても、「その程度は大丈夫」と判断して飲み続ける人がいても、選択は自由です。しかし、選択するための情報を与えないのは、公正さを欠いています。
同時に私たち消費者は、「テレビで宣伝しているから大丈夫」などと安易に考えることはやめましょう。
この原稿を書いていて、興奮して汗ばんできました。自分でつくった冷たい麦茶を飲んで、少し頭と体を冷やすことにいたします。
(文=南清貴/フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会代表理事)