「直売りだけなら、駅で待ち合わせして、その場で手渡しするだけだから安全です。でも、生脱ぎは相手の車の中とかカラオケに移動するので、確かに危険かもしれない……。ただ、これまでのお客さんに“それ以上”を求めてくる人はいなかったんですよ。すぐにパンツを脱いで渡すのも何か気まずいので、とりあえず10 分くらいお互いのことを適当に話して、サッとパンツを脱いで渡す。それで終わりですね」(同)
変な空気になりそうなときは、「急にバイトが入っちゃったから」などと言い訳をして、すぐにその場を離れるようにしているという。
そして、売った後は客のツイッターをブロック。同じ人と二度と会わないというのが、彼女の防衛策となっているようだ。
しかし、これまでのさまざまな事件を見ると、彼女が無事でいられたのはたまたまとしか思えない。なかには、下着を売りに来た女子高生に妙な気を起こす男性客もいるだろうし、お金のために見知らぬ男性客と実際に会ってしまうような危機意識の低さにも問題がある。何かが起きてからでは遅いのだ。
売る側の女子高生は罰せられない?
女子高生が使用済み下着を売る行為は、1990年代前半に流行した「ブルセラショップ」が始まりといわれている。当時は下着や制服、体操着などに加え、売り主である女子高生の写真やビデオまで販売されていた。
しかし、下着を売る少女たちが未成年者だったことから社会問題化する。93年には古物営業法違反容疑でブルセラショップが摘発され、各都道府県で青少年保護育成条例が改正されたため、ブームが沈静化していった経緯がある。
この青少年保護育成条例は各都道府県によって内容が異なるが、エリカが主に売っているという神奈川県の条例では第29条で以下のように定められており、違反すると30万円以下の罰金が科せられる。
「何人も、青少年から着用済み下着等(青少年が一度着用した下着又は青少年のだ液若しくはふん尿をいい、青少年がこれらに該当すると称した下着、だ液又はふん尿を含む。以下この条において同じ。)を買い受け、売却の委託を受け、又は着用済み下着等の売却の相手方を青少年に紹介してはならない」
ただし、これは青少年を保護する条例のため、罰せられるのは売った側の女子高生ではなく買った側だ。郵送でも手渡しでも罪は変わらない。
一方で、ツイッター上の書き込みによる交渉を規制するのが困難である以上、歯止めをかけるのは難しい。警察や行政がJKビジネスの規制を強化し、業者を摘発した結果、女子高生自身が売り子となって、違うかたちでJKビジネスが広がっていく……そんな皮肉な結果になってしまっているのが現状だ。
この先、より巧妙化したJK売り子が社会問題化し、大きな事件を招いてしまうことにもなりかねない。
(文=吉井福之進/清談社)