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武神健之「優良健康文化をつくるために」

仕事の悩み&ストレスの9割が楽になる、超簡単な方法…日本人は不安になりやすい遺伝子

文=武神健之/医師、一般社団法人日本ストレスチェック協会代表理事

 そして「ストレスを実際に相談した」と答えた労働者のうち、相談することでストレスが「解消された」労働者の割合は 31.7%(同 31.1%)、「解消されなかったが、気が楽になった」は 60.3%(同59.2%)でした。つまり、強い不安、悩み、ストレスがあるとき、人に相談することにより、実に9割以上の人が解消するか、もしくは解消しなくても、気が楽になったと答えているのです。しかもこの相談相手が、医師やカウンセラーではなく、家族や友人、上司や同僚であることは特筆すべきことかと思います。

日本人は不安になりやすい?

 まとめますと、働く人で不安、ストレス、悩みを持つ人は約半数ほどいて、この人たちは身近な人に相談すれば9割は楽になるのに、実際に100人の社員がいると9人ほどは相談すらできていことが、今回の調査からは推測されます。
 
 日本人は欧米人に比べて「不安」を感じやすいことが、遺伝子学的にも判明しています。2009年に発表された遺伝子調査の結果では、東アジア人はヨーロッパ人よりも、「不安」を感じやすい遺伝子を多く持つことがわかっています。なかでも、一番高いのが日本で、その次に、韓国、中国、シンガポールと続きます。欧米人は不安を感じやすい遺伝子タイプの人は東アジア人の半分ほどで、もっとも少ないのが南アフリカだそうです。また、不安を感じにくい遺伝子型の人は日本人では3%ほどしかいないようです【註2】。

 こう考えると、働く人の不安、悩み、ストレスは感じることは自然なことですし、原因が職場にあってもそれは特別なことではありません。

 しかし、日本の会社では、ストレスやメンタルヘルスの話は、いまだにタブーであったり、恥ずかしいと思われたりしがちです。そして多くの働く人は、精神的なストレスを感じていることを、個々人の弱みと認識しがちで、またそのことを隠す傾向にあります。

 不安やストレスや悩みがあっても、他人に相談していない社員たちに、どのように対処していくか? 会社や人事担当者にとっては、そのあたりが、今後の課題になるのではないかと感じた調査結果でした。
(文=武神健之/医師、一般社団法人日本ストレスチェック協会代表理事)

※引用元
【註1】平成28年労働安全衛生調査(実態調査)」の概況
17 大産業に属し常用労働者を 10 人以上雇用する民営事業所のうちから無作為に抽出した約 14,000 事業所並びに当該事業所に雇用される常用労働者及び受け入れた派遣労働者のうちから無作為に抽出した約 18,000 人を調査客体とし、それぞれ 9,564 事業所及び 10,109 人から有効回答を得ました。【厚生労働省】

【註2】日本人は高度不安民族?!

武神健之/医師、一般社団法人日本ストレスチェック協会代表理事

武神健之/医師、一般社団法人日本ストレスチェック協会代表理事

医学博士、産業医、一般社団法人日本ストレスチェック協会代表理事。20以上のグローバル企業等で年間1000件、通算1万件以上の健康相談やストレス・メンタルヘルス相談を行い、働く人のココロとカラダの健康管理をサポートしている。著書に『職場のストレスが消える コミュニケーションの教科書―上司のための「みる・きく・はなす」技術 』(きずな出版)、『不安やストレスに悩まされない人が身につけている7つの習慣 』(産学社)、共著に『産業医・労働安全衛生担当者のためのストレスチェック制度対策まるわかり』(中外医学社)などがある

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