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南清貴「すぐにできる、正しい食、間違った食」

キャノーラ油で炒めものは体に悪い?有毒な過酸化脂質に変化?

文=南清貴/フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会代表理事

オメガ3脂肪酸の油で調理は絶対NG!

 油は体内に取り込まれるとさまざまな働きをしますが、なかでも重要なのは「細胞膜をつくること」と「エイコサノイド(体内調整物質)の原材料になること」です。

 地球上に生きるすべての生物の細胞膜は基本的に油でつくられているのですが、それは地球が水の星だからです。地表の約70%が水であるといわれますが、実はそれよりも地球を取り巻く大気が水を多く含んでいるということのほうが、地球が水の星であるという意味に関しては重要なのです。つまり、地球上に生きる生物の細胞膜が、水に溶ける物質でつくられていたとしたら、細胞膜はすぐに溶けてしまい生命として存立できなくなってしまいます。そのため、地球上のすべての生物の細胞膜は、水に溶けない物質である「油」でつくられているのです。そしてその細胞膜の原材料となっているのが、オメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸です。

 エイコサノイドは、私たちが生きていくのに必要な順応性を高めるために体内に存在している物質の総称ですが、最近までその存在は確認できませんでした。それはエイコサノイドが働きを終えると分解されてしまうために存在が確認できなかっただけで、あるはずだと確信されていたものです。そのなかでも、もっとも重要な働きをしているのが、「炎症を起こす(炎症系)エイコサノイド」と「炎症を抑える(抗炎症系)エイコサノイド」です。

 現代人は、食事内容から、炎症系エイコサノイドが多くつくられるようになってしまっています。そのバランスは、摂取した脂肪酸の比率によって決定します。つまり、私たち現代人は抗炎症系エイコサノイドをつくり出すために必要な脂肪酸の摂取が少ないということです。その抗炎症系エイコサノイドの原材料となっているのが、オメガ3脂肪酸なのです。

 オメガ3脂肪酸を多く含む食品の代表格は「亜麻仁油」ですが、最近はオメガ3脂肪酸の効能を謳い、さも体に良いかの如く宣伝している油もありますが、鵜のみにしないで吟味する必要があります。

 オメガ3脂肪酸は熱に弱いという弱点があります。したがって、オメガ3脂肪酸を含んだ油で揚げものなどをすることは危険です。一部の企業では、自社のキャノーラ油には、オメガ3脂肪酸が多く含まれていると謳い、その製品で揚げものや炒めものなどの調理をすすめていますが、とんでもないことです。オメガ3脂肪酸は摂氏70度を超えると分解が始まり、過酸化脂質という、私たちの体にとって有害な物質に変化します。オメガ3脂肪酸を含んだ油を加熱することは、もってのほかなのです。油を製造、販売している企業が、そんな基本的な知識も持っていないのであれば大きな問題ですが、知っていてそれを隠して売ろうとしているのであれば、さらに重大な問題です。

南清貴

南清貴

フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会
代表理事。舞台演出の勉強の一環として整体を学んだことをきっかけに、体と食の関係の重要さに気づき、栄養学を徹底的に学ぶ。1995年、渋谷区代々木上原にオーガニックレストランの草分け「キヨズキッチン」を開業。2005年より「ナチュラルエイジング」というキーワードを打ち立て、全国のレストラン、カフェ、デリカテッセンなどの業態開発、企業内社員食堂や、クリニック、ホテル、スパなどのフードメニュー開発、講演活動などに力を注ぐ。最新の栄養学を料理の中心に据え、自然食やマクロビオティックとは一線を画した新しいタイプの創作料理を考案・提供し、業界やマスコミからも注目を浴びる。親しみある人柄に、著名人やモデル、医師、経営者などのファンも多い。

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