印象も良く全部おごってくれる40代の彼氏が、突然私のSNSに誹謗中傷を書き込み始めた理由
カレの豹変
「ところが……」と彼女がマユをひそめて語る。
「彼は、私と結婚したいと言うのです」
それは、いい話ではないのか?
「うーん。ちょっと気になることがあって」
彼女は30代独身、彼は40代会社経営者の独身。いつもおごってくれる気前のいい人。それで、どこが気になるというのだろう。
「愚痴、というか、悪口が目立ってきたんです。仕事の愚痴ではなくて、以前別れた彼女たちの悪口です。『A子はすぐ感情的に怒っていたけど、どう思うか?』『B子は感謝を知らない女だったが、どう思うか?』と、セラピストの私を試しているのかもしれませんが、とにかく別れた女性たちの悪口を言い、自分のどこがいけなかったのかと」
なるほど。これは、彼女がセラピストだから起こるトラブルでもあるだろう。とにかく「僕の混乱している気持ちをなんとかしてほしい」と依頼心いっぱいの彼を負担に感じるようになったという。
「苦しくなって、『ちょっと距離を置きましょう』と別れ話を切り出したら……」
彼女のFacebookのコメント欄に、彼が書き込みを始めたという。彼女が「先日のセラピーでは~をしました」などという記事をアップすると、彼がコメント欄へ次のように書き込む。
「彼女はセラピーなどする資格はない。人の悩みにいいかげんな対応をする女だ」
慌てて彼女が、「誤解があるようですが、ここは公の場ですので書き込みの内容に気をつけてください」と書くと、彼は「ファンだったのに思ったほどの人物ではなかった」「悩みを訴えても、聞きたくないと無視する女だ」などと、彼の主観で次々コメントを書き込むため、彼をブロックせざるを得なかった。ところが、ブロックすると別のアカウントから書き込みがされ、今も続いているという。
「もう私、SNSをやめたくなりました」
卑怯な誹謗中傷を行う輩がいるからといって、SNSをやめる必要などないが、しばらくの間はSNSから離れておられるほうがいいでしょうとお伝えし、彼から今後ストーカー行為をされた際の対処方法をアドバイスして、初回の相談を終えた。
「あなたのファンです」に要注意
こうした事例は、女性は特に気をつけたほうがいいことである。芸能人や著名人ではなくても、SNSは“狭い世界における有名人”をつくり上げることもあるし、通常では出会わない人と出会ったり、いきなり「友だち」になり、一気に距離が近くなることもある。
SNS有名人の女性には、さまざまな人がいろいろな思いを持って近づいてくる。安易に付き合って別れた後に悪口を書かれないよう、自己防衛しなければならないのは、やはり女性の側であるし、そもそも「別れた彼女」の悪口を言うのは“ダメな男性”だが、さらに付け加えると、『僕はあなたのファンです』と、よく知らないうちに軽々しく言う男性は、その後、『僕はあなたに幻滅した』と、彼の思い通りにならないことに対して一方的なダメ出しもしがちなのだ。
SNS有名人の女性は気をつけてくださいね。
(文=池内ひろ美/家族問題評論家、八洲学園大学教授)