医師が教える、インフルエンザの知られざる予防法…罹ったときの間違った対処法
38.0℃以上の発熱が突飛に発現し、全身の節々の痛みがあり、「いつもの風邪と感じが違う」と思ったら、すぐ病院で受診して抗インフルエンザ薬を処方してもらう必要がある。発病して48時間を過ぎウイルスが細胞内に潜り込んでしまうと、薬が効かないからだ。
ただし、インフルエンザは予防をするほうが大切である。インフルエンザ・ウイルスの主な感染経路は、「飛沫感染」「接触感染」「空気感染」の3つである。よって、予防法としては以下が知られている。
(1)マスクの着用…飛沫感染を防御
(2)緑茶による「うがい」…緑茶に含まれる「カテキン」に抗ウイルス作用がある
(3)手洗い…石鹸で手首、手の甲や手のひら、手指、爪まで入念に洗う。アルコール消毒ならもっと短時間ですむ
(4)ドアノブ、スマホ、パソコン、机の上でインフルエンザ・ウイルスは1~2日生存するので、アルコールで消毒する
このほかには、以下などの励行も大切である。
(5)室内に加湿器を設置…乾燥するほどウイルスの感染力が高まる
(6)十分な睡眠…寝不足は免疫力を低下させる
(7)ウォーキング、ストレッチなどの心地よい運動…マラソンなどの競技を目的としたハードな運動は免疫力を低下させることがあるが、「心地よい」「うっすらと汗ばむ」程度の運動は免疫力を上げる
しかし、一般の医学が指摘、指導しない重要な予防法として、「食べすぎを避けること」がある。
風邪、インフルエンザ、胃腸病その他ほとんどの病気で、「食欲不振」が発現する。そんなとき一般の人たちも、医師たちでさえも、「体力をつけるために無理してでも食べるように」と、食を強要することがほとんどだ。
しかし、これは愚の骨頂である。神様が我々人間をはじめ、動物に与えてくださっている病気を治す方法は究極的には「食べないこと(食欲不振)」と「発熱」の2つしかない。犬や猫が病気をすると「一切食を拒み、数日すると元気になる」様子を目の当たりにした人は少なくないだろう。
「食べたくないときは食べない」
話は旧聞に属するが、米国ミネソタ大学医学部の教授だったM・J・マレイ博士は1975年に飢饉のサハラ砂漠を訪れ、遊牧民に食糧を与えたところ、「しばらくして突然にマラリアやブルセロージス、結核などの感染症が起こってきた」ことを経験したことから「栄養過多が感染症を誘発するのではないか」「我々が食べる食物中の栄養素は、我々の体の維持よりも、病原菌の分裂、増殖のほうにむしろ利用されているのではないか」と考えるに至った。