2月に発売された明日花キララのファーストスタイルブック『neo nude…』(主婦の友社)が売れに売れている。アマゾン限定カバー版は発売直後に即ソールドアウトし、わずか1カ月で通常版も重版が決定。ツイッターは100万フォロワー、インスタグラムも160万フォロワーを抱え、絶大な影響力を誇るインフルエンサーとなった彼女の支持層は、今や男性だけにとどまらない。
実際、スタイルブックの内容は明日花キララの私服コレクションやヘアアレンジ、メイク、スタイル維持についてなど、完全に女性向け。セクシー女優として知名度を上げた彼女が、なぜ今、女性から支持されるのか。『neo nude…』の担当編集者の氏家菜津美さんに話を聞いた。
「整形してなりたい顔」1位で確信
「絶対に『女性向け』のスタイルブックにしよう! というのは最初から決めていました」
そう語る氏家さんは以前から明日花の人気に注目しており、自身が担当するファッション誌「S Cawaii!」の企画内アンケートでは、女性からの支持の大きさを確信していたという。
「昨年、『S Cawaii!』で『整形してなりたい顔ランキング』というアンケートをとったのですが、その結果、石原さとみさん、沢尻エリカさんを抜いて明日花さんが1位になったんです。うちの読者は主に10代、20代の女性。アンケートからは、明日花さんの完璧なルックスに憧れる若い女性ファンの存在が浮き彫りになりました」(氏家さん)
この結果を受け、スタイルブックをつくるにあたって徹底的に女性目線を意識したという氏家さん。ページをめくると明日花の女子力が全開の、まるでファッション誌のような華やかな構成になっている。
「自信があったので、初版で通常の書籍の3倍ぐらいの部数を刷りました。それなのにすぐに売り切れて、1カ月で重版が決まったときは、正直驚きましたね」(同)
出版イベントを開催すれば、駆けつけるファンのほとんどは、東京でも大阪でも女性ばかりだったという。
「200~300人集まったイベントでも、男性は数えられるぐらいしかいませんでした。会場には『S Cawaii!』の読者層と重なる20代前半で、いわゆる少し派手な女子大生という雰囲気の女性が集まっていました」(同)
明日花が登場すると感激で泣き出す女性ファンを目の当たりにして、あらためて女性人気を実感した、と氏家さんは話す。もはや、ファンにとって明日花という女性は唯一無二の存在のようだ。
「もう誰も、肩書きで彼女を見ていないですよね。かわいくて憧れのインフルエンサーという存在で、実際に何をしていても関係ない。うちの編集部でも彼女の昔の職業を知らない子もいますし、もはや彼女自身がブランド化している気がします」(同)
なぜ若い女性は明日花キララに夢中になるのか?
氏家さん自身は、若い女性が明日花に魅了される理由はどこにあると感じているのだろうか。
「彼女は生き方に筋が通っていてブレないんですよ。高級なものやハイブランドが好きとか、彼女のなかのルールが一貫していて、芯の強さがある。それが『キララちゃんみたいになりたい!』という女性たちの憧れにもつながっているのではないでしょうか」(同)
確かに、スタイルブックを見ても、彼女の私服のクレジットはグッチやシャネルなど、女性なら一度は憧れるハイブランドばかり。時代の流れに逆行するような徹底した高級志向は清々しいほどだ。
このスタイルブックの撮影時に急遽買い足したというインナートップスが、明日花にとっての“初ユニクロ”だったという逸話も、また彼女らしいものだ。ただ高級アイテムを並べているだけだと反感を買ってしまいがちだが、彼女が好かれるのは、そこに努力や徹底した自己プロデュースがにじんでいるからではないか、と氏家さんは分析する。
「明日花さんにはキラキラした地位を自身でつかみ取った、という格好良さがある。ハングリー精神を持ち、まわりの目を気にせず自分らしさを貫く。なんとなく業界の目に止まったラッキーガールではなく、彼女自身が努力とタフなメンタルですべてを勝ち取っていることをみんな知っているので、尊敬されているのだと思います」(同)
また、彼女の仕事に対する姿勢にも女性が憧れる要素が詰まっている。
「撮影イメージを納得いくまで話し合い、原稿も写真も、すべてにしっかり目を通すんですね。そのプロ意識の高さに、すごくまじめな人なんだと感じました。一緒に仕事をしていて、私も身の引き締まる思いでした」(同)
そのプロ意識は、彼女の抜群のスタイルにも強く反映されている。撮影が押して朝6時集合の深夜1時解散というハードスケジュールになったとしても、その後、必ずジムに行くのだという。SNSで見せる華やかな顔の裏に努力が隠れているからこそ、明日花キララはキラキラしているのだ。
「笑われて、笑われて、強くなる。」
人形のような端整なルックスと天真爛漫なキャラクターが魅力の明日花はSNSで日常をオープンにしているにもかかわらず、ある種のミステリアスさも持ち合わせている。一貫して明日花キララ像を守り抜く自己プロデュース力を、氏家さんは絶賛する。
「たとえば、明日花さんは『ファンには常に新しい自分を見てほしいから』と、一度着た洋服は二度と身に着けないんです。きっと、常に自分がどんな『明日花キララ』でいればファンが喜ぶかをわかっているんですね。それでいて、普段はスタッフに手料理を振る舞ってくれるなど、周囲への気遣いも欠かさない。いい意味で普通の女の子の一面もあるんです」(同)
『neo nude…』には、明日花の「座右の銘」として、こう書かれている。
「笑われて、笑われて、強くなる。」
誰に何を言われようと自分の道をブレずに歩み続ける明日花キララに女性たちが憧れのまなざしを向けるのは、当然なのかもしれない。
(文=藤野ゆり/清談社)