1972年に誕生し、今年50周年を迎えているハンバーガーチェーン「モスバーガー」。ファストフードチェーンの雄としてその名が知られているが、実は東京・成増で生まれた生粋の日本発祥ブランドでもある。その手間をかけた調理と確かな味が受け、“味にこだわるならモス”と好評だ。
2.8坪の1号店からスタートした同チェーン店だが、手間を惜しまぬ企業努力の甲斐もあってか、国内店舗数は1254店舗(2022年7月末時点)にまで至っている。今回は、そんなモスのラインナップから、“買うべきモスメニュー”を独自調査。この秋に食べるべき魅力的なメニューを4品選び抜いたので、紹介していこう。
バーベキューフォカッチャ/460円(税込、以下同)
まず紹介するのは「バーベキューフォカッチャ」。実はこちら、2000年に初登場して以降、2014年までに計10回販売され、累計販売数約4000万食を記録したという秋冬限定の人気商品。これまでにファンから根強い再販の要望が寄せられていたそうで、8年ぶりに待望の復活となったのだ。
しかも今回はリニューアルもされており、グリーンリーフや千切りキャベツを追加したことで、さっぱりとしたテイストに仕上がっているという。また、特筆すべきはソーセージが8%増量して食べ応えがアップした点。これまでのファンを満足させつつも、常に新しい楽しみを提供してくれるその姿勢は、商品に妥協を許さないモスのこだわりぶりが表れているといえるだろう。
実食した最初の印象は、食感が非常に楽しいということ。本品最大の特徴は、イタリアのピッツァの原型になったともいわれる、フォカッチャのもっちりとした食感だ。インドのナンをもっとしっとりさせたようで、噛み締めていくと通常のバンズよりも小麦の甘みを強く感じることができた。
そしてソーセージはパリッとした天然羊腸の歯ごたえと、ジューシーかつスモーキーな味わいで、ファストフード店のクオリティとは思えないほど高級感ある贅沢な味わい。また、馬蹄型のフォルムなので、フォカッチャの形状にうまく収まっており、ソーセージ系バーガーにありがちな食べづらさを感じないのも高評価ポイント。そこにアメリカンなバーベキューソースが絡まることで、まるで焼きたてのソーセージをパンに挟んで食べているかのような感覚になる、非常に満足度の高い一品だった。
月見フォカッチャ/520円
今秋のモスは、先述の「バーベキューフォカッチャ」をアレンジした「月見フォカッチャ」にも注目。秋冬シーズンはバーガー系のファストフードチェーン店は、“月見系バーガー”を続々と発表しているが、モスもこの流れの新商品を出した形だ。
実食したところ、「バーベキューフォカッチャ」のアップグレード版という印象を抱いた。もちもちのフォカッチャの食感、シャキシャキ食感の千切りキャベツとグリーンリーフ、ジューシーでスモーキーな香りの馬蹄型ソーセージ、そこに合わさるバーベキューソースの甘みとほのかなスパイシーさ。見事なバランス感覚である。
これらの美味しさをブーストさせているのが卵の存在。この卵は、プルプルトロトロの半熟状態を維持しているのだ。月見系のバーガーは目玉焼きに調理されることが多いが、本品はポーチドエッグ状。食べ進めて黄身がとろりと溶け出すとバーベキューソースやソーセージと絡み合い、口当たりが一気にまろやかになりコクがアップするのである。
ももジンジャーエール(Mサイズ)/340円
モスはドリンク系メニューでも季節限定のフレーバーを提供している。特にピリッとした刺激が爽やかなジンジャーエールは、季節ごとに新商品が登場するので、そのたびにファンを賑わせているのだ。
この「ももジンジャーエール」は期間限定のフレーバーで、福島県産白桃の4倍濃縮果汁をジンジャーエールで割ったもの。独特のスパイシーな香りが魅力のジンジャーと、優しく濃厚な甘さと香りが特徴の白桃が合わさることで、一体どんな味わいに変化を遂げているのか。
一口飲んでみると、口の中に白桃の丸みのある甘みがパッと広がり、同時に鼻の奥に華やかな香りがふわっと抜けていく。その後を追いかけるように炭酸のシュワシュワした刺激と、ジンジャーのスパイシーな爽やかさがやってきて美味。
特筆したいのは、白桃の果肉がたっぷり入っており、そのつぶつぶとした果肉の食感がいいアクセントになっている部分だ。この果肉があることで味がぼんやりとせず、桃とジンジャーの香りを新鮮に感じ続けられるバランスは見事である。
枝豆コーンフライ/270円
モスのサイドメニューというと、カリッとしつつもジャガイモのホクホク感がしっかりと感じられる「フレンチフライポテト」や、圧倒的な衣のサクサク感とジューシーな肉汁でファンも多い「モスチキン」、さらには香ばしく揚げ甘みがギュッと引き出された「オニオンフライ」と、オリジナリティのあるラインナップが魅力。だがいま、そんなサイドメニューに新たな商品が加わっている。それがこの「枝豆コーンフライ」だ。
期間限定商品でありながら、異色の“さっぱり系フライ”として大きな存在感を放っており、SNSでは続投を願う声も多い。というのも、本品は塩だけで味付けした枝豆とコーンを、クセのない米粉(上新粉)でさっくりと揚げた、素朴な味わいが魅力なのだ。
モスは“菜摘シリーズ”に代表されるように、ファストフード業界でも異例のフレッシュな野菜のうまみを堪能できるチェーンでもある。そんな野菜を感じられるメニューに合わせるサイドメニュー選びが実は難しくもあったのだが、この「枝豆コーンフライ」の登場で、さっぱりとしたモスを味わいたいときに欠けていたピースがついに埋まった感がある。
揚げたてを一口かじってみると、サックリとした衣の軽さに驚く。噛み締めると、ゴロゴロとした粒が感じられるサイズの枝豆がたっぷりと入っており、シンプルながらたまらないうまみと風味が口に広がってくる。これだけでも十分にうまいのだが、ジューシーな甘みのコーンも時折顔を出し、これがいいアクセントで食べ飽きないバランスを実現していた。
ファストフード業界のなかで、素材にこだわった贅沢メニューが多いイメージのあるモス。実際、今回紹介したメニューはどれも見事な出来だった。モスにはこれ以外にもこだわりメニューがたくさんあるので、ぜひ店舗に足を運んでみてほしい。
(文・取材=A4studio)
※情報は2022年9月20日現在のものです。