今SNSでは、プロの料理家たちが、見ているだけでよだれが出てくるような絶品レシピを、写真と共に次々と投稿している。彼らが投稿するレシピには数多くの「いいね」がつき、なかにはその数が1万を超える、いわゆる「万バズ」を達成しているレシピも少なくない。
そこで、Twitterで大人気を呼んでいる話題の「バズレシピ」の実力を確かめるべく、実際にレシピをもとに料理して実食レビュー。今回、選ばせていただいたのは、累計発行部数が700万冊を超える超人気レシピ本シリーズ『syunkonカフェごはん』の著者でも知られる、料理コラムニストの「山本ゆり」さんのレシピだ。
抜群の美味しさもさることながら、あっと驚かされるアイデアも楽しい山本さんのレシピの実力を、存分に味わっていこう。
「6Pチーズいももち」:チーズをジャガイモで包んで焼いたパリとろおつまみ
まずは、山本さんのTwitterで29.7万「いいね」(12月2日現在、データは以下同)と獲得した超大人気レシピである「6Pチーズいももち」というレシピから作っていこう。
『6Pチーズ』といえば、1954年の発売から長らく愛されている、6個にカットされた、おつまみなどにもぴったりな雪印メグミルクの名物商品。そのまま食べても十分美味しいこの商品を、山本さんはさらに美味しく変身させるという。
用意する材料は以下。
・『6Pチーズ』(1箱)
・ジャガイモ(2個、250g)
・片栗粉(大さじ1、いももち用)
・水(大さじ2)
・塩(少々)
・コショウ(少々)
・片栗粉(適量、衣用)
・サラダ油(適量)
『6Pチーズ』がさらに美味しくなるとのことで、何か特別な味付けをするのかと思うかもしれないが、意外にも用意する材料はシンプルな印象を受けた。だが、むしろ「この食材であれだけのバズっりぷりをするのか!」と期待値がグンと高まってきた。
作り方は、まずジャガイモ(2個、250g)を水で洗って、水気がついたままラップで包み、600Wの電子レンジで4分ほど加熱。ひっくり返して同様の設定で1分ほど加熱する。加熱後、ラップのまま水に軽く浸けて粗熱を取り、皮を剥いたらボウルなどにあける。片栗粉(大さじ1、いももち用)、水(大さじ2)、塩(少々)、コショウ(少々)を加え、フォークなどでマッシュポテト状になるまで丁寧に潰し、全体を混ぜ合わせていく。次に、潰したマッシュポテトで包装を剥がした『6Pチーズ』(1箱)をひとつずつ包み、元の『6Pチーズ』と同じ形状に手でそっと成形していく。6つ分成形したら、片栗粉(適量、衣用)にまんべんなくまぶす。
まぶし終わったらフライパンにサラダ油(適量)を入れ、いももちを並べていき、弱めの中火でこんがりと色づくまで加熱。このとき、菜箸などでそっと動かして全面を焼き付けていくのがコツだそうだ。焼けたいももちをお皿に盛れば完成だ。
焼きあがった見た目はまるで竜田揚げのよう。一口噛むと、サクッとした衣の歯ごたえ、いももちの柔らかさ、とろけたチーズのなめらかさと、その食感が次々と変化していくことに驚かされた。そして肝心の味だが、これが実に美味しいのだ。
油をほどよく吸ったことで、こっくりとした甘みが引き出されたいももちに、濃厚なチーズの旨味が絡み合い、抜群の美味しさに仕上がっている。材料を見たときにそのシンプルさに驚かされたが、それにもかかわらずここまで完成度の高い味に仕上げるのは、ひとえに山本ゆりさんの味のバランス感覚のなせる技だろう。食べるうちに思わずビールが飲みたくなるやみつきメニューなので、気になった人はぜひ作ってみてほしい。
「豚もやしちゃんぽん風炒め」:おなじみの食材だけなのに、衝撃の再現度
次は、テレビ朝日系の料理番組『DAIGOも台所〜きょうの献立何にする?〜』でも紹介された、「長崎ちゃんぽん」の味を再現した炒め物レシピを紹介しよう。本レシピへのTwitter上での反応は2.1万「いいね」と、先の「6Pチーズいももち」には及ばないものの、実際に作った人たちからは、その味の再現度に驚きの声がいくつも寄せられている要注目の一品だ。
用意する材料は以下。
・豚バラ肉(120g、薄切り)
・キャベツ(160g)
・もやし(200g)
・おろしにんにく(チューブで2cm)
・おろししょうが(チューブで2cm)
・塩(適量)
・黒コショウ(適量)
・ごま油(小さじ1)
・粗挽き黒コショウ(適量)
・みそ(小さじ2)
・砂糖(小さじ1/2)
・鶏ガラスープの素(小さじ2、顆粒)
・片栗粉(小さじ2)
・水(120ml)
・牛乳(120ml)
作り方は、キャベツ(160g)の芯を切って5cmほどのざく切りに、豚バラ肉(120g、薄切り)は3cm幅に切っておく。次に、みそ(小さじ2)、砂糖(小さじ1/2)、鶏ガラスープの素(小さじ2、顆粒)、片栗粉(小さじ2)、水(120ml)、牛乳(120ml)をボウルなどにあけて、スプーンなどでよくかき混ぜ、合わせ調味料を作る。
フライパンに、ごま油(小さじ1)を入れて中火で熱し、豚バラ肉(120g、薄切り)を菜箸などでほぐしながら炒めていく。そこに、おろしにんにく(チューブで2cm)、おろししょうが(チューブで2cm)、塩(適量)、黒コショウ(適量)、さらにキャベツ(160g)、もやし(200g)を加えて、全体が馴染むように炒め合わせる。
少ししんなりしてきたら、合わせ調味料を加え、全体に絡ませつつ、とろみが出るまで加熱。とろみが出たら火を止め、器に盛ってから仕上げに粗挽き黒コショウ(適量)を振りかければ完成だ。
見た目はまさに「麺なしの長崎ちゃんぽん」のようだが、その味も同じように再現されているのだろうか……。期待と不安を胸に一口食べてみると、一瞬「えっ?」と声を出してしまうほどに、その味はまさしく「長崎ちゃんぽん」なのだ。シャキシャキとしたも「やし」とキャベツの食感。旨味の詰まった豚バラ肉、そしてとろりとした白濁のスープ。牛乳や「みそ」でこれだけの味が再現できるとは、まるで狐につままれたような気分。
思わずもりもりと食べ進めてしまう、あと引く美味しさのこのレシピ。そのまま食べても美味しいや、ご飯にかけたり、市販のかたやきそばの上にかけたりして、長崎皿うどん風に食べるのも美味しいかもしれない。
山本ゆりさんのバズレシピたちは、シンプルな味で深い味わいを表現していたり、馴染みの材料で予想だにしない味を再現したりと、美味しさだけではない楽しさもギュッと込められている料理ばかりだった。気になった人はぜひ一度チャレンジしてみてほしい。
(文=TND幽介/A4studio)