今SNSやYouTubeでは、プロの料理研究家たちが絶品料理のレシピを惜しげもなく公開し、「万バズ」や100万再生越えを次々と叩き出している。かつてはテレビや料理本などでしか触れる機会のなかった絶品レシピが、写真や動画といったかたちで非常にわかりやすく紹介されているのだ。
毎日の自炊やおつまみに何を作ろうか頭を悩ませている人にとって、料理研究家たちのわかりやすいレシピの数々は、実にありがたい存在。なかでも、YouTubeのチャンネル登録者数161万人(2022年12月2日現在、データは以下同)、再生数100万回再生越えの動画を量産しているのが料理研究家のコウケンテツさんだ。
そこで今回はコウケンテツさんの人気レシピの実力を確かめるべく、実際に公開されているレシピをもとに料理を作り、実食レビュー。コウケンテツさんのレシピは、スーパーなどで手に入る定番の具材を使いながら、ちょっとした一手間で抜群の完成度を誇るという。熱いファンも多いその料理をさっそく見ていこう。
「とろ旨なすのチーズ焼き」:とろとろ食感のなすでお酒がすすむ絶品レシピ
最初に紹介するのは、動画再生数179万回を記録している大人気レシピである「とろ旨なすのチーズ焼き」だ。晩御飯にもう一品という場面や、晩酌のあてに一品という場面で活躍する万能レシピということだが、どんなレシピなのだろうか。
用意する材料は以下。
・なす(2本)
・サラダ油(約大さじ3)
・しょうゆ(小さじ2)
・みそ(小さじ2)
・砂糖(小さじ2)
・みりん(大さじ1)
・酒(大さじ1)
・スライスチーズ(2枚)
・青じそ(2、3枚)
なす×みそという抜群のコンビに、なんとスライスチーズという洋風食材がプラスされるが、どんなマリアージュを見せてくれるのか期待が高まる。さっそくその作り方をチェックしていこう。
作り方は、まずは「なす」(2本)のヘタ部分をささがき切りにして取っていく。こうすることで身を切りすぎることがなくなるという。次に、なすを縦半分にカットし、その真ん中に包丁で3本ほど隠し包丁を入れていく。このとき、反対側まで包丁が入るように切るが、間違って切り離さないように注意しよう。
フライパンにサラダ油(約大さじ3)を入れ、中火で温めていく。そこになすを入れてこんがりと焼き色を付け、蓋をして蒸し焼きにする。
その間に小鉢などに、しょうゆ(小さじ2)、みそ(小さじ2)、砂糖(小さじ2)、みりん(大さじ1)、酒(大さじ1)を入れて混ぜ合わせ、合わせ調味料を作っておく。同時に、青じそ(2、3枚)をくるくると巻いてから刻み、薬味も用意。フライパンの蓋を開けて、キッチンペーパーなどで余分な油を拭き取ったら、合わせ調味料を投入し、なすに味を染み込ませていく。
タレにとろみがついてきたら火を止め、スライスチーズ(2枚)を半分に割り、なすの切り口面に乗せて、再び蓋をして余熱で溶かしていく。チーズが溶けたら皿に盛り、仕上げに大葉を散らせば完成だ。
皿に鼻を近づけると、香ばしいみそ照り焼きの香りがふわっと漂い、食欲が刺激される。湯気立つなすを箸で持ち上げると、チーズがとろりと垂れてきた。一口かじると、みそダレの香ばしい香りとコク、甘さが一気に口に広がる。噛み締めると、油の旨味を吸い込んでとろとろになったなすのジューシーな旨味、さらにスライスチーズの濃厚なコクが加わり非常に美味しかった。
複雑な味が渾然一体となり、しかもそのどれもが完璧な役割を演じているバランス感覚は、さすが大人気レシピ。また、なすに入れた隠し包丁のおかげで味が染み込んでおり、美味しさにムラがないこと、そして薬味の大葉で後味もすっきりしているところもニクい。日本酒とも抜群に合うような味わいなので、ぜひ試してみてほしい。
動画URL:https://www.youtube.com/watch?v=-O3LAW9F8gA
「カリカリチキンステーキ和風オニオンソース」:皮の食感が絶品の人気レシピ
次は、コウケンテツさんのYouTubeでNo.1の再生数となる、驚異の527万再生を記録している「カリカリチキンステーキ和風オニオンソース」というレシピだ。火の通し方が難しいチキンステーキだが、コウケンテツさんの手にかかれば抜群の仕上がりになると、絶賛のコメントがいくつも寄せられている。
用意する材料は以下。
・鶏もも肉(2枚)
・塩(少々)
・オリーブオイル(大さじ2)
・玉ねぎのみじん切り(1/4個)
・しょうゆ(大さじ2)
・みりん(大さじ2)
・水(大さじ2)
・酒(大さじ1)
・砂糖(小さじ1)
作り方は、まず鶏もも肉(2枚)の身の厚い部分に、キッチンバサミで切れ込みを入れていく。こうすることで火の通り方が均一になるのだそうだ。次に肉の両面に塩(少々)を振って、火をつけていないフライパンにオリーブオイル(大さじ2)を入れ、肉の皮をできるだけ広げてムラができないように注意しながら、皮目から入れていく。
中火で皮面だけで約10分加熱。こんがりときつね色に焼けたら、キッチンペーパーで余分な油を拭き取り、弱火にしてから肉を返し、約3分焼いていく。焼けたらバットなどにあけ、余熱で火を通していく。残した脂に「玉ねぎのみじん切り(1/4個)」を入れて絡ませていく。
次に水(大さじ2)、酒(大さじ1)、みりん(大さじ2)の順で投入。さらに砂糖(小さじ1)と、しょうゆ(大さじ2)を入れたら、混ぜながら軽くとろみがつくまで煮詰めていく。タレができたら鶏肉をお皿に盛り、上からタレをかけ、お好みで分量外の「黒コショウ(適量)」をかけたら完成だ。
カリカリに仕上がった鶏皮に、しょうゆダレがしたたり、見ているだけでお腹が鳴ってくる……。たまらずナイフを入れて、一口頬張ってみた。まず感じたのは、こだわって焼いたカリカリの鶏皮の心地良い食感だ。鶏皮はそのブヨっとした食感が苦手という人も多いが、これだけクランチーに焼き上げると、また違った印象に感じられるので、苦手な人でもきっと美味しくいただけるだろう。
噛み締めるとふっくらジューシーな鶏肉から肉汁が溢れ出し、そこに香ばしい和風オニオンソースの旨味が加わり、一気に口の中がお祭り状態に。そのまま食べても良し、炊きたてのご飯と合わせても良しな絶品料理だった。
動画URL:https://www.youtube.com/watch?v=AjJt858NHTM&t=665s
コウケンテツさんのレシピは、素材の旨みを極限まで引き出す見事なテクニックに満ちていた。こうした技があるからこそ、万人に愛される人気レシピが生まれるのだろう。その妙技は公式チャンネル「Koh Kentetsu Kitchen」で見られるので、ぜひチェックしてみてほしい。
チャンネルURL:https://www.youtube.com/@kohkentetsukitchen
(文=TND幽介/A4studio)