●初対面で良い印象を与えるコツ
–森嶋氏は翻訳を終えて、人の顔に対する見方は変わりましたか?
森嶋マリ氏(以下、森嶋) 変わったとまではいえませんが、注視するようになりました。人と会った時に、その人の心理的な特性を見抜くことは難しいですが、第一印象が大切であることをあらためて理解しました。
先入観を持ってはいけないと思いますが、著者が述べているように、細長い顔の人に対しては「この人は、もしかして攻撃的になるのかな」とか、丸顔の人には「温厚な方なのかな」とか、そのあたりを意識するようになりました。それから幅の広い顔の人には頼りがいを感じるようにもなりました。
また、相手の印象だけでなく自分の印象についても、本書に書かれていますが数秒間で第一印象が決まってしまうのですから、その数秒間で良い印象を与えることを心がけるようになりました。
–良い印象とは、笑顔でいるということでしょうか?
森嶋 はい、笑顔です。ただし、つくった笑顔でなく、本当の笑顔でないと意味がありません。そこで、例えば初対面の方に対しては「どんな方にお会いできるのかな」と前もって気持ちを高めておくことで、本当の笑顔でお目にかかれるのではないでしょうか。そう思うようになりましたが、これは、この本を訳した副産物かもしれません。
一方で、意識的に笑顔をつくることで、だんだんと心の伴った本物の笑顔になっていくのではないかと思っています。
–ソフトバンク社長の孫正義氏、楽天社長の三木谷浩史氏は顔の幅が広いですね。
森嶋 三木谷氏の顔はさわやかで、頼りがいがありますね。ビジネスで成功するには攻撃的な面も必要でしょうが、さらに男性としての魅力には、生物学的に申し上げれば経済力があること、大昔なら食べ物を獲ってくる能力が求められます。そういう男性は顔の幅が広く、これは男性ホルモンにも関係していると著者は書いていますが、「なるほど」と納得しました。
–本書には、子供でも選挙に当選する候補者は顔で判断できると書かれていますが、政治家の顔をどうご覧になっていますか?
森嶋 閣僚に就任するような議員に、貧相な顔の方はいないという印象です。本書ではリンカーンの顔が紹介されていますが、仮にリンカーンにヒゲがなかったら、貧相で悪人のような印象を与えてしまうでしょう。ケネディとニクソンの顔も比較されていますが、女性にはケネディの顔のほうが絶対に受けます。
女性が政治家の顔を見る場合、さわやかな印象はポイントの高い要素です。その意味で安倍晋三首相はさわやかで、それに最近は頼りがいも出てきた印象があるので、人気が高いことがよくわかります。