部下に嫌われ、能力も引き出せないダメ上司 部下を成長&成功させ、利益を上げる良い上司
●部下との正しい接し方
では、以上のことを踏まえ、上司として部下にどのように接すればよいのか、上司として数多くの部下と接してきた筆者の経験から、その具体的な方法を以下に整理してみます。
(1)押し付け指導はやめる
自分が部下のために一生懸命指導していると思った瞬間にNGです。特に最近の若者は「余計なお世話」くらいにしか思わず、「腕を磨いたらもっといい会社に転職してやる」などと考えている社員も少なからずいるからです。そんな姿勢では、部下のやる気は出ません。「指導は部下のためであり、会社や自分のためではない」と部下にわかってもらうことが大切です。部下のことを本気で考えるならば、部下の将来の天職を見つけるくらいの真剣さが必要であり、口先だけで言っていても長く一緒に仕事をしていればすぐにばれてしまいます。当然、会社のために仕事をするのがビジネスパーソンの義務ですが、本気で部下と向き合うのならそのくらいの覚悟が必要です。
(2)とにかく小さなことでも褒め、諭してから期待する
上司であるあなただって、昔は新人だったということを思い出してください。誰だって最初はわからないし、失敗もよくする。にもかかわらず、叱るだけの上司がいます。それではダメです。叱る前に、「残業時間削減、効率化の提案はものすごく良かったよ、君なら今回の失敗があったけど、成功体験を積んでくれることを期待しているよ」など、最初に褒めてから期待を込めての気づきを与えるとよい。
かつては体育会系のノリで叱ってもよかったのだろうが、今はとにかく具体的に褒めてから諭し、期待する。そうすると部下は上司のためにがむしゃらになってくれます。人間は感情の動物だということを忘れないでください。
(3)どうしたらできるのかを考えさせる
筆者が伊藤園に在籍していた時に叩き込まれたことだが、「何事もどうしたらできるのかを部下に考えさせる」ということです。部下が失敗することは想定内のはずですが、「叱る」「怒る」「諭す」は大きく違う意味を持っています。
叱るのは、やらなかったり、手抜きしたり、ボンミスなど能力的に気がつかない不可抗力の場合。怒るのは、部下に恨まれて意味がありません。やはり今の時代の指導は諭すのが一番良い。誰のためにというのが相手にわかるからです。部下のほうが仕事ができるなら、あなたとポジションをチェンジすればよい。