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山本康博「なぜあの商品はヒットしたのか/しないのか」(1月1日)

部下に嫌われ、能力も引き出せないダメ上司 部下を成長&成功させ、利益を上げる良い上司

文=山本康博/ビジネス・バリュー・クリエイションズ代表取締役

部下との正しい接し方

 では、以上のことを踏まえ、上司として部下にどのように接すればよいのか、上司として数多くの部下と接してきた筆者の経験から、その具体的な方法を以下に整理してみます。

(1)押し付け指導はやめる

 自分が部下のために一生懸命指導していると思った瞬間にNGです。特に最近の若者は「余計なお世話」くらいにしか思わず、「腕を磨いたらもっといい会社に転職してやる」などと考えている社員も少なからずいるからです。そんな姿勢では、部下のやる気は出ません。「指導は部下のためであり、会社や自分のためではない」と部下にわかってもらうことが大切です。部下のことを本気で考えるならば、部下の将来の天職を見つけるくらいの真剣さが必要であり、口先だけで言っていても長く一緒に仕事をしていればすぐにばれてしまいます。当然、会社のために仕事をするのがビジネスパーソンの義務ですが、本気で部下と向き合うのならそのくらいの覚悟が必要です。

(2)とにかく小さなことでも褒め、諭してから期待する

 上司であるあなただって、昔は新人だったということを思い出してください。誰だって最初はわからないし、失敗もよくする。にもかかわらず、叱るだけの上司がいます。それではダメです。叱る前に、「残業時間削減、効率化の提案はものすごく良かったよ、君なら今回の失敗があったけど、成功体験を積んでくれることを期待しているよ」など、最初に褒めてから期待を込めての気づきを与えるとよい。

 かつては体育会系のノリで叱ってもよかったのだろうが、今はとにかく具体的に褒めてから諭し、期待する。そうすると部下は上司のためにがむしゃらになってくれます。人間は感情の動物だということを忘れないでください。

(3)どうしたらできるのかを考えさせる

 筆者が伊藤園に在籍していた時に叩き込まれたことだが、「何事もどうしたらできるのかを部下に考えさせる」ということです。部下が失敗することは想定内のはずですが、「叱る」「怒る」「諭す」は大きく違う意味を持っています。

 叱るのは、やらなかったり、手抜きしたり、ボンミスなど能力的に気がつかない不可抗力の場合。怒るのは、部下に恨まれて意味がありません。やはり今の時代の指導は諭すのが一番良い。誰のためにというのが相手にわかるからです。部下のほうが仕事ができるなら、あなたとポジションをチェンジすればよい。

山本康博

山本康博

ビジネス・バリュー・クリエイションズ
代表取締役、損保ジャパン顧問。ブランドマーケッター。日本コカ・コーラ、日本たばこ産業、伊藤園でマーケティング、新商品企画・開発に携わり、独立後に同社を設立。これまで携わった開発商品は120アイテム、テレビCMは52本制作。1年以上継続した商品は計算すると3割以上、メーカー側でマーケティング実績35年。現在では新商品開発サポートのほか、業界紙をはじめとしたメディア出演や寄稿、企業研修、大学等でのセミナー・講義なども多数実施。たたき上げ新商品・新サービス企画立ち上げスペシャリスト。潜在ニーズ研究家。著書に『ヒットの正体』(日本実業出版社)、『現代 宣伝・広告の実務』(宣伝会議)、2016年スタンフォード大学 David Bradford 名誉教授、ボストンカレッジ Allan Cohen 教授の推薦書として、世界に向けて英著、 “Stick Out”a ninja in Japanese brand marketingを全世界同時発売開始。『Stick Out~a ninja marketer』(BVC)、現在ブレイク中で話題のAmazon書籍総合1位も獲得したベストセラー『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』(致知出版)の一人として8月1日執筆など。

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