インスタと安倍晋三アカウントで若者にアピール
一番おもしろいのが、Instagramを活用している点だ。
前述のように、LINEは災害支援用、FacebookとYouTubeは公式な活動を公開する場。Twitterはアカウントごとに両方の使い方をしており、それぞれ国民のため、あるいは国民に理解を求めたり報告をするために使われていると考えられる。
あまり考えなくても、Instagramは政治的なことや情報取得という面からは一番遠いことに気づくだろう。そのInstagramを使いこなしている理由は、投稿内容を見ていくとすぐにわかる。
もちろん主な執務が写真や動画で投稿されており、説明欄に「#安倍総理からの#メッセージ」として、詳しい情報も入れられている。しかし、明らかにLINEやFacebook、YouTubeなどでは出てこない情報が含まれている。
それが、さまざまな著名人・芸能人などとの自撮り写真だ。たとえば、ゴルフをしたときのトランプ大統領との笑顔のツーショットは、関係性が良いことが伝わってくる。芸能人とのショットも少なくない。たとえば、TOKIO、常盤貴子さん、カズレーザーさん、大谷翔平選手、GENERATIONS from EXILE TRIBE、関ジャニ∞の村上信五さん、なんばグランド花月での池乃めだかさんらとのショットもある。
このような人気の著名人と写っていれば、話題になることは必至。イメージアップになる上、そのような著名人の支持を受けているととらえられるだろう。明らかに、Instagramの若いユーザーにアピールしようとしていると考えられるのだ。Instagramでうけるハッシュタグも使いこなし、ビジュアル的な投稿が多いため、フォロワーも25万人に上っている。
なお、このような写真はTwitterの「安倍晋三」アカウントでも投稿している。そう、Instagramの存在が目立つが、安倍政権はTwitterを非常にうまく駆使しているのだ。こちらでも執務情報は公開しているが、それ以外にも大泉洋さんや高畑充希さんとの写真など笑顔のショットを多く公開しており、イメージアップにつながるような戦略的な運用をしていることがわかるのだ。
LINEやTwitterの災害時支援アカウントは、いざというときのために事前に友だち登録したり、フォローしておくべきだろう。また、YouTubeやFacebook、Twitterのメインアカウントをフォローすることで、今の政治の流れはつかめるようになるだろう。
確かに、若者たちが一番フォローしていて楽しいのは、Instagramだろう。あるいは、Twitterの安倍晋三アカウントかもしれない。しかし、そこには政治的な意図が濃厚に含まれている。そのことを知った上で、客観的な目を持ったまま情報を得たり、楽しんだりするのが一番いいのではないだろうか。
(文=高橋暁子/ITジャーナリスト)